厚生労働省は10月9~11日の3日間、横浜市のパシフィコ横浜で「ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット2019」(JHVS2019)を開催する。医療系ベンチャー等の優れたシーズを実用化につなげるため、大手企業やベンチャーキャピタル(VC)など支援者との出会いの場を提供することを目的としており、出展者は個別ブースでのPRや会場全体に向けたプレゼンテーションを行う。製薬業界からヘルスケア分野に進出したケースの紹介や、厚労省のベンチャー支援事業の具体的な成果報告なども行われ、ベンチャー支援に対する理解を得たい考えだ。
国内には優れた基礎研究やものづくり技術などを持つアカデミア、中小企業があるものの、十分に活用できていないのが現状。こうした状況の打開を目指し、厚労省は優れたシーズの実用化を促し、医療系ベンチャーを育成する好循環を構築するため、17年から同サミットを毎年開催している。ベンチャーがブース出展やプレゼンテーションを行うことで、大手企業、金融機関、研究機関等との出会いの場を提供する。
昨年のサミットでは、同時開催の「バイオジャパン」「再生医療JAPAN」と合わせて、3日間で約1万6000人が来場し、医薬品、医療機器や再生医療等製品などのベンチャー、支援側である金融機関やVCなど、延べ105団体が出展した。事前に情報登録することでターゲットを効率的に探索できる「パートナリングシステム」を活用して面談に至った件数は1153件で、第1回サミットの418件から倍増するなど、実績を上げている。
「攻めの製薬産業・医療機器産業」をテーマとする今回のサミットのプログラムでは、製薬・医療機器業界から予防・ヘルスケア分野への進出と、他業種から製薬業界等への進出について、実際の取り組みと今後起こり得る展開を講演とパネルディスカッションで取り上げる。
昨年2月から厚労省の委託事業で行われている「医療系ベンチャー・トータルサポートオフィス(MEDISO)」とサミットの成果報告も行われ、これまでのベンチャー支援策を総括するほか、MEDISOとサミットを活用して開発が進展した企業を招き、講演が行われる。製薬企業やアカデミアから、ベンチャー企業への人材交流の取り組みも紹介し、交流に至った背景や今後の動きが当事者から語られる。
前回サミットでも実施した「臨床研究中核病院セッション」では、国立がん研究センター中央病院など全12病院が初参加し、ベンチャー企業支援における中核病院の役割を議論する。
「ヒューマンオーグメンテーション」と題して、最新技術を駆使した製品の試用ができるコーナーも新設する。また、神奈川県のベンチャー支援事業「ME-BYO」の具体例の紹介も初めて行われる予定だ。
厚労省は、「人が集まるこの場をうまく活用してアピールし、様々な人と交流してコネクションを得てほしい」と参加者に呼びかけている。