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オール薬剤師で業務範囲の議論を

2019年11月01日 (金)

 今臨時国会で審議される予定の医薬品医療機器等法(薬機法)改正案で、薬局薬剤師にとって非常に大きな変化となるのが、特定機能を有する薬局を「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」に分類し、都道府県知事の認定により名称表示できる仕組みが導入されることである。さらに、患者が服薬期間中の「継続的な服薬状況の把握・指導と記録」が義務づけられる。

 2015年10月に、厚生労働省から示された「患者のための薬局ビジョン」に沿った形で薬剤師業務を「対物業務から対人業務」にシフトさせる狙いがある。

 また、薬剤師がこうした対人業務に専念していくための追い風と捉えられるのが、厚労省から発出された通知「調剤業務のあり方について」である。

 これまで調剤業務について、薬剤師以外の者が「不可」であることを示した15年の通知「薬剤師以外の者による調剤行為事案の発生について」は存在したものの、「可能」とする前向きな通知は初めてではないか。同通知では、開設者に対し非薬剤師の業務における手順書の整備や薬事衛生上必要な研修の実施を求めている。

 ただ、同通知への対応をめぐって見解が分かれる事態が生じている。通知発出以降、既に薬局団体単位、県薬剤師会など複数の組織体で、調剤補助業務などに従事する非薬剤師の研修を実施しているか予定されている中、日本薬剤師会の山本信夫会長は10月24日の定例会見で、非薬剤師の研修について当面実施する考えはないとの方針を明らかにした。

 同通知において非薬剤師ができないこととされているのは、15年通知に示された軟膏剤、水剤、散剤等の直接計量や混合についてであり、引き続き「違法」とする考えを示している。

 一方で、調剤機器などを活用した作業について、非薬剤師が行うことは妨げていない。もちろん、通常の薬剤師による調剤業務の範囲も明示されてはいない。

 確かに「調剤」という言葉だけでは、薬物療法の専門家である薬剤師の業務を全て体現できるとは言い難い。職能を包括的に表現するという意味では、医師の「医療行為」に対し、薬剤師が薬学的知見に基づき行う行為を的確に表す用語は、今のところ定義されていないのが実情である。

 そうであるならば、薬局薬剤師の業務が大きく変化するターニングポイントでもある改正薬機法の成立から施行までの間に、こうした定義について積極的に議論が行われる必要があるのではないか。

 当然、行政主導ではなく、職能団体である日薬が中心となってオール薬剤師で進めていくべきである。そのことが国民に対する「薬剤師業務の見える化」につながり、薬剤師職能の進展にも寄与すると考えられる。まさに今こそ、行動に移さなければならないタイミングだ。



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