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文部科学省の2009年度概算要求は、一般会計で08年度当初予算に比べ12・8%増の5兆9472億円となった。研究開発の強化に向けたライフサイエンス関連の予算は、08年度から152億1100万円増の861億0700万円を要求する。iPS細胞関連の「再生医療の実現化プロジェクト」に08年度より16億5000万円増の36億5000万円、癌などの重大な疾患に関わる橋渡し研究支援プログラムに43億円増の61億円が含まれる。
「再生医療の実現化プロジェクト」では、幹細胞の操作や治療に関する技術の開発のほか、研究拠点の整備や技術プラットフォームの構築、ヒト幹細胞バンクの整備を予定している。
革新的医薬品・医療機器の創出に向けては、橋渡し研究支援のほか、個人の遺伝情報に応じた医療の実現プロジェクトに28億円、分子イメージング研究プログラムに12億円、それぞれ前年度と同額要求する。
ライフサイエンス関連ではこのほか、「革新的たんぱく質・細胞解析研究イニシアティブ(仮称)」として、ゲノム情報の解析で細胞・生命プログラムを解明するため、革新的な解析能力を持つ次世代シーケンス拠点、超大量データ解析拠点やたんぱく質解析技術開発拠点を重点的に整備する新規事業を立ち上げるため69億円を計上した。
これらのライフサイエンス関連の予算要求は、今年5月に決定した、世界に先駆けた技術開発を目指す「革新的技術戦略」や、文科・厚生労働・経済産業の3省による「革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略」に基づくもの。
イノベーションを生み出すシステムの強化に向けては、基礎研究からの技術シーズを創出するため、革新的技術など産業創出の基盤となる技術を選定し、産学官で複合的に研究開発を推進する戦略的イノベーション推進事業として、新規に28億円を要求する。
このほか、社会・経済ニーズに対応した新技術を創出する戦略的創造研究推進事業に前年度から61億3300万円増の549億6300万円、知的クラスター創成などの産学官連携拠点の形成支援に前年度から96億円増の114億円を計上している。
一方、教育分野では、社会保障の重点施策を政府がまとめた「五つの安心プラン」でも挙がった医師不足への対策の新事業として、医師養成数の増加を目指し、教育機器などを含む環境整備に69億9995万3000円、また地域医療を担う医師養成の取り組みの支援と、産科・小児科の人材養成のための教育環境の整備や女性医師の復帰支援などに114億7876万9000円を計上した。
また、質の高い専門医、臨床研究者の養成を行う大学病院の取り組み支援に30億円、癌医療の担い手となる癌専門医師などの養成を行う大学への支援に25億円など、大学病院の医師等の養成機能の強化には全体で前年度から36億0500万円増の78億6000万円を要求する。
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