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厚生労働省統計情報部が発表した2006年度「国民医療費」によると、前年度より13億円とわずかに減少し、33兆1276億円となった。06年度は診療報酬改定が行われたが、4年ぶり2回目のマイナス改定で、過去最大の引き下げが行われたことが大きく影響した。その中で、調剤医療費は4兆7061億円で、国民医療費に占める割合も14・2%と過去最高をさらに更新すると共に、伸び率も3・2%増だった。
06年度は経済の安定成長基調が残る中、国民所得は373兆円強と前年度より1・8%増加した。国民医療費は診療報酬が過去最大の3・16%引き下げられた結果、国民所得に占める国民医療費の割合は8・88%で、前年度初めて9%だったのが、再び8%台となった。国民1人当たり医療費は、前年度と同額の25万9300円となった。
診療種類別の使われ方をみると、入院・外来など「一般診療」に25兆0468億円(対前年度比0・3%%増)。内訳は入院医療費が12兆2543億円(1・1%増)、外来医療費は12兆7925億円(0・4%減)となっている。
そうした中、薬局調剤医療費は3年連続で4兆円台に達した。国民医療費に占める割合も14・2%と過去最高だった。ただ、医薬分業の進展・普及を背景に、調剤医療費は二桁台の伸びが続いていたが、05年度の伸び率は8・8%と一桁台にとどまり、今回も前年度の伸び率を5ポイントも下回るなど、伸び率は急速に鈍化した。また、歯科診療医療費は、2・8%減の2兆5039億円。歯科診療医療費と薬局調剤医療費との開きはさらに拡大し、2兆円以上の差がついた。
制度区分別では、医療保険等給付15兆9272億円(2・5%%増)、老人保健給付10兆2325億円(3・8%減)、公費負担2兆2125億円(0・6%増)、患者負担4兆7555億円(増減なし)となっている。なお、国民医療費に占める患者自己負担の割合は14・4%で、05年度の割合と変わらない。
老人保健給付が減少したのは、給付対象年齢が01年度から5年間で70歳から75歳へと段階的に引き上げられ、06年度からは対象が75歳以上になり、対象者数の減少が影響したものと見られる。
年齢階層別では、65歳以上で17兆1233億円と、国民医療費全体の51・7%を占め、05年度より2327億円増。65歳未満の医療費は16兆0043億円で、2340億円減少している。
1人当たりに換算すると、65歳以上は64万3600円で、65歳未満の15万8200円の約4・1倍に当たる。さらに、1人当たりの薬局調剤医療費でみると、65歳以上は7万1500円で、65歳未満の2万5600円の約2・8倍に当たる。
一般診療医療費の傷病分類別では、循環器系の疾患が5兆7725億円(23・0%)で最多。次いで新生物2兆8787億円(11・5%)、呼吸器系の疾患が2兆1224億円(8・5%)と、上位の3疾患は変わらない。これに続き、精神及び行動の障害が1兆9369億円(7・7%)、筋骨格系及び結合組織の疾患が1兆8017億円(7・2%)。
新生物は05年度に比べ1748億円減少しているが、統計情報部では04年度にも同様の傾向があったことから、診療報酬改定の影響で診療費が抑えられたと見ている。
65歳未満では上位の3疾患を合わせて診療費の36・2%となるのに対し、65歳以上では、循環器系の疾患だけで30・7%と高い割合を占める。この傾向も従来から変化していない。
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