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【医薬基盤研究所】ES細胞の無血清培地開発に成功

2008年9月3日 (水)

 医薬基盤研究所の生物資源研究部細胞資源研究室は、英国シェフィールド大学との共同研究で、血液の凝固阻止作用を有する体内物質であるヘパリンが、ヒトES細胞の増殖を促進し、未分化性を保つ作用があることを発見した。その成果を用い新規ヒト胚性幹(ES)細胞無血清培地の開発に成功した。

 一般的にヒト幹細胞は、血清を用いてマウス胎児組織由来細胞(フィーダー細胞)をシャーレに増やし、その上でヒトES細胞を培養するが、その際に用いる培地は、牛血清あるいは動物由来成分を含む代替血清を用いている。そうした条件では、抗原性の変化や病原体混入の可能性があり、また詳細が不明な微量成分に起因すると思われる実験結果のバラツキなど、様々な問題がある。

 また、フィーダー細胞を事前に準備する必要があるなど操作も煩雑で、ヒトES細胞を安定して供給することが難しいのが現状。それに加え、問題のある培地を用いて、再生医療への臨床応用や、創薬・毒性試験などに応用するのは難しいといわれている。

 今回の共同研究で開発された培地は、フィーダー細胞が不要で、牛血清や代替血清なども使用しない。これまでにも、無血清培地はいくつか開発されているが、全ての組成が明らかにされた培地で、ヒトES細胞の培養が可能な培地は数少ない。開発された培地は、最小限の因子しか含まれていないことから、添加因子の影響を、正確に解析することができる。

 共同研究では、ヘパリンには内在性のFGF‐2の作用を増強させる作用があることを見出し、線維芽細胞増殖因子‐2(FGF‐2あるいはbFGF)の作用によるとされていたヒトES細胞の未分化性維持や細胞増殖が、ヘパリン単独でも達成できることを発見した。その成果を用いて無血清培地「hESF9」を開発した。

 開発された培地は、多くの増殖因子やサプリメントを添加しなくても、ヘパリンと従来よりも低濃度のFGF‐2を添加することで、ES細胞の未分化状態や多分化能を維持して培養できる。

 同培地を利用することで、薬の毒性試験や、創薬におけるスクリーニングの感度が100倍近く上がる可能性が考えられている。ただ、現段階では、まだ高度な培養技術を必要とするため、同研究室では今後その改良を行っていく予定だ。

 また、国際的なヒトES細胞研究者らは、ヒトES細胞の完全合成培地を用いた標準化された培養法に則って、ヒト幹細胞が樹立されるための基準や規格を構築する試みを進めているという。

 京都大学・物質”細胞統合システム拠点・拠点長の中辻憲夫教授は、「培地の研究は非常に重要で、今回発表された成果は、今後の多能性幹細胞研究の多くの分野で大きく貢献するだろう」とコメントしている。

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