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関東を地盤にドラッグストアを展開するウエルシア関東は、1日付で静岡の高田薬局と経営統合し、共同持ち株会社「グローウェルホールディングス」を設立した。同じく1日付で、スギ薬局は持ち株会社「スギホールディングス」に移行した。ドラッグストア業界では、新規事業の開発や業務提携、M&A(合併・買収)を目的に、持ち株会社(HD)化による企業体制の整備を進めており、マツモトキヨシHD、ツルハHD、アライドハーツHDに続き、今春にはセイジョーとセガミメディクスの大手同士が経営統合しココカラファインHDを設立、さらに明年3月には神奈川を地盤とするクリエイトエス・ディーも、持ち株会社制への移行を予定している。さらなる業容拡大を目指すため、持ち株会社を核とする手法は、今後の業界再編を加速しそうだ。
グローウェル:ドラッグ&調剤の展開に強み
グローウェルHD(東京都千代田区神田鍛冶町)は資本金10億円で、核となる企業はウエルシア関東と高田薬局。会長には鈴木孝之氏(ウエルシア関東会長兼社長)、社長には高田隆右氏(高田薬局社長)が就任した。
子会社のウエルシア関東は、埼玉県を中心に関東圏において、屋号「ウエルシア」として297店舗(2月末現在)を保有。一方の高田薬局は、静岡県を中心に98店舗(2月末現在)のドラッグストア・調剤薬局を展開。両社ともドラッグ&調剤の店舗展開に強みを持つ。
グローウェルHDでは「今後はグループとして、調剤併設、深夜営業、カウンセリング化粧品の積極展開という独自のビジネスモデルに、介護事業を加えたトータルヘルスケアステーションとして、地域社会に貢献する“かかりつけ薬局”の全店展開を実現し、他社との差別化戦略を推進していく。業界のリーディングカンパニーとして、独創的で常に新しいビジネスモデルを展開させ、業界ナンバーワンの実現に向けて進化し続けたい」としている。
09年8月期(08年9月1日009年8月31日)の業績は、売上高1590億円、営業利益52億円、経常利益54億円、当期純利益25億3000万円を見込む。
スギ:在宅医療・訪問看護へ進出
スギ薬局では、「コーポレートガバナンスの強化」「経営効率の向上」「医療事業への深耕」「機動的な組織再編」の実現を目指し、持ち株会社スギHDに移行した。構成するグループ企業は、スギ薬局(調剤併設型ドラッグストア)、スギメディカル(在宅医療事業)、ジャパン(ディスカウントストア)、ドラッグスギ(旧イイズカ薬品)
8月末現在のグループ店舗数は、中部エリア301店舗、関西エリア199店舗、関東エリア149店舗の計649店舗。2010年度のグループ中期計画は「1000店舗(中部350店舗、関西250店舗、関東400店舗)、売上高3500億円」を構想。M&Aも視野に入れながら、中部・関西への継続的出店はもちろん、関東への重点的出店を加速していく考えだ。09年2月期の通期連結売上高は、2737億円を予想。
中でも注目されるのがメディカル事業。1日付で医療サービス専門会社「スギメディカル」(東京都品川区)を設立、訪問看護事業への進出を予定する。同社は終末期にも対応できる在宅医療事業、訪問看護事業に取り組むと共に、治験事業(SMO事業開発、CRC育成)への参入も視野に入れている。
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