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厚生労働省の「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」の委員は3日、医薬品医療機器総合機構(PMDA)を視察し、意見交換した。視察を終えた委員からは、業務量の多さに、スタッフ不足を懸念する声が上がり、安全対策の充実や治験への信頼を高めるためにも、人材不足対策を講じるべきなどの意見が相次いだ。
視察に先立ち、PMDAの川原章理事が医薬品・医療機器の承認・審査に係る業務の流れをはじめ、厚労省とPMDAとの役割分担、承認件数の推移などを説明した。
その後、委員は健康被害救済部、一般薬等審査部、新薬審査第1部、治験相談室、安全部、品質管理部、医療機器審査部、生物系第2部を視察した。
視察後の意見交換では、弁護士の水口真寿美委員が、技術系職員331人のうち、医師が25人という現状について、「全体として医師が不足している」との印象を語り、安全対策の観点から医師がもっと関与できるような体制整備が必要だとした。
これに対し、PMDAの近藤達也理事長は、治験に対する医師の関心が低い現状を示した上で、「医師に治験の重要性を認識してもらえるよう、PMDAに一定期間留学してもらい、病院に戻ってもらうような仕組み作りが必要」だと、医師のキャリアパス制度確立が急務だとした。さらに、承認審査業務の透明性をいか確保するかも、PMDAの課題として挙げた。
薬害肝炎全国原告団の泉祐子委員も、「とにかく人材が不足している」との認識を示し、PMDAへの関心を高めるためには、大学に治験に関する講座を開設するなど、人材を継続的に増やしていく方策を検討してもらいたいと要望した。
また、医薬品の副作用により患者が入院・死亡した場合、救済給付を行う医薬品被害救済制度が、あまり知られていない現状を示した上で、さらなる周知徹底を求めた。
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