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4月の診療報酬と薬価の改定により、処方せん1枚当たり報酬が、改定前の3月は約8549円だったのに対し、改定後の4月は約8480円、5月約8310円、6月約8245円と、ジリジリ減少していることが、日本保険薬局協会(NPhA:会長三津原博氏)がまとめた「2008年度診療報酬改定による影響調査」で明らかになった。このうち8年ぶりに引き上げられた技術料は、3月には約2001円であったが、4月以降徐々に減少し、6月には約1981円と、微減傾向を示している。
調剤基本料引き下げが影響
影響調査は、NPhAが会員会社244社(6250薬局)を対象に、7月17日08月5日にかけ実施したもので、45社2332薬局(1カ月当たりの処方せん枚数は490万枚、1薬局1カ月当たり平均2100枚)から回答があった。調査は大きく4項目からなり、今年の306月の4カ月分の動向について聞いている。
「処方せん1枚当たりの報酬動向」(有効回答数2332薬局)では、3月は8549・8円(薬剤料=6548・6円、技術料=2001・3円)だったが、4月以降は減少を続け、6月には8245・5円(6263・7円、1981・8円)となり、改定後3カ月で、処方せん1枚当たり金額は3・6%、304・3円(284・9円、19・5円)減少した。
今回の診療報酬改定は8年ぶりのプラス改定で、0・38%引き上げられた。調剤についても、技術料部分で0・17%のプラス改定であったが、今回の調査結果では、引き上げの効果は見られなかった。また、薬価改定は医療費ベースで1・1%、薬価ベースで5・2%引き下げられたが、その影響が明瞭な形で調査結果に表れている。
調剤基本料(有効回答数2281薬局)は、3月の407・3円から、4月には399・7円、5月399・9円、6月400・8円と推移し、4月以降明らかに減少した。今回の改定では一本化が見送られ、かつ「後発品使用促進を理由に引き下げ」が行われて、調剤基本料は42点が40点、19点が18点なったことから、当初から薬局経営への影響は大きいとの見方がされていた。約7円の減少が、長期的にはボディブローのように薬局経営に影響を与える可能性がある。
一方、指導料(1813薬局)は3月が431・2円だったが、4月には362・8円、5月362・6円、6月356・9円と、改定後3カ月で約17%の大幅減となった。
このうち薬剤服用歴管理指導料(旧薬剤服用歴管理料、2140薬局)は、22点から30点と見た目の点数が増加したため、3月の176・7円が4月には216・2円、5月216・4円、6月217・4円と増加した。しかし従来は、薬剤服用歴管理料は22点の基本点数のほか、服薬指導加算22点が算定できたが、今回それがマルメられ、実質的には“指導料の大幅減”となって表れた模様だ。
今回の目玉となる在宅関係の点数では、在宅訪問薬剤管理指導料(459薬局)は、0・9円から4月5・8円、5月6・8円、6月6・9円と伸びた。従来、老健施設など居住系施設入局者等は350点とされていたが、要件が緩和され、2回目以降の算定も可能になったため、増加したものとみられる。しかし、他の項目に比べ有効回答薬局数が459薬局と少ないことから、まだ、一般的な業務としては広く浸透していないことも読み取れる。
さらに、後発医薬品調剤体制加算を取得している薬局数は、4月が1364軒と全回答数の6割を下回っていたが、103月の実績が評価されたことから、5月は1505軒(64・4%)、6月1586軒(67・8%)と次第に増加しつつあるようだ。
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