武田薬品は17日、米セルジェネシスが欧米で実施中の前立腺癌ワクチン「GVAX」の開発中止を発表した。両社は3月にライセンス契約を締結したが、8月には2本の第III相試験のうち「VITAL‐2」試験を中止。もう一つの「VITAL‐1」試験の再解析を独立データモニタリング委員会(IDMC)に依頼していたが、契約締結からわずか7カ月で第III相試験の相次ぐ中止に追い込まれた格好だ。
GVAXに関しては、進行性前立腺癌患者を対象としたVITAL‐2試験の中間解析において、GVAX群と対照群で死亡例に偏りが見られたことから、両社はVITAL‐2試験の中止を決定した。
この結果を踏まえ、VITAL‐1試験の再解析を依頼していたが、主要評価項目の延命効果を達成する可能性が30%未満とのIDMCの見解に基づき、VITAL‐1試験についても中止を決定し、GVAXの全ての開発は中止に至った。
武田薬品は、米アムジェン日本法人、米ミレニアムファーマシューティカルズの買収など、癌領域の強化を急ピッチで進めており、6月にミレニアムの多発性骨髄腫治療薬「ベルケード」について、一次治療としての承認を米国で取得した。
ただ、8月には米アフィマックスと共同開発していた癌性貧血治療薬「ヘマタイド」の開発を中断。今回、前立腺癌ワクチン「GVAX」の開発が全て第III相段階で中止に至ったことで、癌領域の開発にブレーキがかかった格好となった。
現在、癌領域の後期臨床開発段階には、アムジェンの抗EGFR完全ヒト型モノクローナル抗体「パニツムマブ」が進行結腸・直腸癌の適応で国内申請中、頭頸部癌の適応で国内第III相試験段階にある。また、アムジェンのVEGF受容体阻害剤「AMG‐706」が進行非小細胞肺癌を適応に日米欧で第III相試験段階にある。