厚生労働省はこのほど、日本医薬品卸業連合会の加盟62社を対象に調査した9月取引分の医療機関と薬局への納入価格の妥結状況をまとめた。9月の妥結率は70・9%で、2006年10月の薬価改定時の54・2%に比べ16・7ポイント伸び、流通改善の目安とされていた70%を超えた。厚労省医政局経済課は、「病院、薬局、卸それぞれの経営状況が厳しい中、ここまで改善したことは一定の評価ができる」との見解を示した。
9月の妥結状況は、医療機関が66・1%(06年10月比10・7ポイント増)、保険薬局が76・1%(23・2ポイント増)という結果だった。伸び幅は、20店舗以上のチェーン薬局の71・7%(57・3ポイント増)が最も大きく、200床以上の大手病院46・7%(13・7ポイント増)と続いた。チェーン薬局以外の薬局は77・2%、診療所88・6%、200床以下の病院で66・8%という結果だった。
医療機関を設置主体別にみると、厚労省関連21病院が99・9%、国立病院機構99・6%、国立大学法人91・3%など、国が関与する病院では高い妥結率を示しているが、厚生連では9・1%、日赤14・1%、済生会21・6%など、大規模な公的病院グループで低い傾向にあった。
総価取引については、08年度上半期の単品単価契約の売上高に占める割合は200床以上の病院で68・2%となり、07年度と比較して21・8ポイントも大幅に増加した。総価契約は31・8%(07年度比21・8ポイント減)、全品総価契約は24・6%(19・6ポイント減)だった。
一方、20店舗以上のチェーン薬局の単品単価契約は21・2%で、07年度に比べ20・3ポイント上昇したが、全品総価契約は2・0%で、51・2ポイント減だった。
流通改善に向けて取り組むべき課題の一つである早期の妥結率向上では、9月末の結果が注目されていたが、経済課は「一定の評価ができる」とした。
また経済課は、相次ぐ診療報酬改定の引き下げによる病院・薬局経営の悪化などで、薬価コストを少しでも下げたいという思惑が働き、取り扱う医薬品の数量が膨大な大病院や大手薬局ほど、価格交渉が長引く傾向にあったが、早期妥結に前向きな動きもみられると分析した。
最近では、卸側が早い段階で「実態とかけ離れていない価格」を提示するようになってきている。また、これまでは年度内の妥結を視野に交渉していた医療機関も、年内の妥結を目指すようになるなど、「全体として早まっている」と評価した。