会見する手代木社長
塩野義製薬の手代木功社長は4日、中間決算説明会で会見し、9月に買収を完了したサイエルのシナジー効果について、「現在開発中のパイプラインが成長し、2009年度以降には業績面で大きく寄与してくれるものと期待している」と話した。
また、同社の海外進出の足掛かりとなる抗肥満薬「S‐2367」の米国での臨床試験は、「対象となる全ての被験者への投与が終了し、症例表を集積する段階にある」と報告。「来年早々、試験結果を発表できる」と見通しを示した。
サイエルの買収に言及した手代木社長は、「1550億円の大きな買い物をしたが、順調なパイプラインをもとに、欧米での販売を開始した」と現況を説明。「米国での販売拠点ができたのは非常にポジティブで、社内のモチベーションを高揚させる原動力となっている」と強調した。
さらに、具体的なサイエルの業績予測として、売上高は08年度1億0500万ドル、09年度5億ドル、10年度6億5000万ドル、11年度7億8000万ドル、営業利益は08年度3000万ドル、09年度1億4000万ドル、10年度2億ドル、11年度2億5000万ドルを示した。
サイエルの買収価格の配分による影響については、知的所有権やR&D、無形固定資産、のれん償却費等について現在、評価算定中で、確定次第速やかに各年度への影響を公表するとしている。
一方、抗肥満薬のPIII段階の開発及び販売のためのパートナー社選定については、「PIIbの結果が出る前の契約は、出た後の契約に比べて金額的に安くなる」と解説。「早めにリスクを取るパートナーとの提携を選んで年内に発表するか、PIIの結果が出てから選定するか、どちらのケースも考えられる」と述べた。
手代木社長は、昨今の急激な円高の業績への影響にも触れ、「米国での研究開発費は、今のところ円高のメリットで減少する可能性は少ない」と予測。アストラゼネカからのクレストールのロイヤリティ収入についても、「為替は103円に据え置いている。ロイヤリティの決算への計上は四半期ずつずれているため、今年度の影響は少ない。とはいえ、現状の円高が続くと多少マイナス要因になる」と分析した。