芳井社長
ツムラの芳井順一社長は12日、都内で開いた中間決算説明会で、漢方製剤の原料となる生薬の国内栽培を本格的に強化する考えを明らかにした。今後、北海道の夕張市と協力し、具体的な国内栽培の可能性を追求する方針で、芳井氏は「地元の雇用創出といった社会的貢献も含め、国産の原料を生産したい」と語った。生薬栽培に関しては、ラオスでの10種類の栽培化にもメドが立ったことから、栽培地の確保に向け来年度中にも現地法人を設立する考えだ。
ツムラは、これまでベトナム、インドネシアから生薬を輸入し、原料の調達を行ってきたが、東南アジアからの輸入では完全なトレーサビリティーは実現できていなかった。そこで、ツムラが管理する100%のトレースを目指し、ラオスでの試験栽培を開始。このほど10種類の栽培化にメドがついたことから、生薬栽培の実用化に向け、来年度にもラオス現地法人を設立し、本格的な生産体制に入る。
また、新たに国内でも生薬栽培の可能性を追求する。芳井氏は、北海道の夕張市と具体的な話し合いを進めていることを明らかにした上で、「地域と協力しながら国産の原料を生産したい」と方向性を語った。北海道での生薬栽培は、地元の雇用創出といった社会的貢献の側面もあるとし、今後さらに国内栽培を強化していく方針を示した。
さらに、中国では生産農家に対する教育を行い、ツムラ主導の生薬栽培を推進する。芳井氏は「中国、ラオス、日本から原料を調達できるようになれば、100%のトレースが完成する」と述べ、生薬トレーサビリティー体制の確立を急ぐ考えを強調した。