2009年度厚生労働省科学技術関係予算(案)は08年度より13億円(1・0%)減の1351億円で、うち厚生労働省科学研究費補助金は56億円(13・1%)増の428億円となった。この中で新型インフルエンザなど感染症研究には26億円、肝炎対策の充実には18億円が充てられることになる。
厚生労働省科学技術に関する施策としては、▽イノベーションの実現を加速する社会還元加速プロジェクト▽革新的技術戦略▽革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略▽健康研究推進会議””の4本を柱として“健康国家への挑戦”を推し進める。
イノベーションの実現では「イノベーション25」に掲げている社会の実現のために、失われた人体機能を再生する医療を実現する。また高齢者・有病者・障害者への先進的な在宅医療・在宅介護を実現する。
革新的技術戦略では、心機能人工補助装置やiPS細胞活用毒性評価技術、感染症ワクチン開発技術(マラリア)などの革新的技術を重点的に推進することで、[1]産業の国際競争力強化[2]健康な社会の構築[3]日本と世界の安全保障の目標を達成””していく。
5カ年戦略では、世界最高水準の医薬品・医療機器を国民に提供するほか、医薬品・医療機器産業が日本の成長牽引役になることを目指す。
健康研究推進会議では、研究概算要求方針を策定するほか、先端医療開発特区(スーパー特区)を推進する。
厚労科学研究費補助金における新規施策としては、地球規模の保健課題の解決(地球規模保健課題推進研究・仮称)に3・4億円を充てる。
主な拡充施策は、スーパー特区の推進が107億円、難病に関する調査・研究の大幅な拡充(難治性疾患克服研究)は前年度の24億円より大幅に増えて100億円、新興・再興感染症対策の推進(新型インフルエンザ等新興・再興感染症研究・仮称)は26億円、肝炎対策の充実(肝炎等克服緊急対策研究)が18億円、認知症対策の推進(認知症対策総合研究・仮称)は3・5億円などとなっている。
科学技術関係予算が前年度より1・0%マイナスとなったことについて厚生科学課は、「08年度第2次補正予算で前倒ししたため」と説明している。