アルツハイマー病(AD)の疾患原因とされるアミロイドβ仮説に基づく初の治療薬「アデュカヌマブ」の日本上市を前に、何を準備しておくべきか――。11月27日に都内で開かれた第40回日本認知症学会学術集会では、アデュカヌマブの臨床使用を視野に入れた課題を議論し、投与対象となる軽度認知障害(MCI)と早期ADの診断、副作用の管理といった医療体制、高額な医療費の問題まで、多岐にわたる環境整備が必要なことが浮かび上がった。患者にとっては、高額な医療費がアデュカヌマブへの期待を落胆に変えるきっかけとなったとされ、アデュカヌマブの適切な投与対象を選定しつつ、有効性と経済性のバランスをいかに取るかが重要なポイントとなってきそうだ。
高額医療費に患者は「落胆」
花俣ふみ代氏(認知症の人と家族の会)は、患者の立場から、6月のアデュカヌマブの米国承認について「朗報にこの時点では多くの当事者である患者、家族が大きな期待を持って受け止めた」としつつ、「その後、高額な医療費やアデュカヌマブの適用範囲などが明らかになるにつれ、中等度以上の認知症患者とその家族が大半を占める会員には落胆が広がった」と率直な感想を語り、「介護する家族にとっては、遠い先の完治よりも今の時点で病気の進行が止まることが切実な希望」と訴えた。
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