
都内で開かれたミレニアムデー
武田薬品は26日、都内で米ミレニアム・ファーマシューティカルの幹部を集め「ミレニアムデー」を開催し、癌領域の事業戦略を示した。その中で、長谷川閑史社長は、2020年に癌領域のトップ3入りを掲げる目標について、ファイザーのワイス買収など大型M&Aが連続している状況を挙げ、「他社の合併によって大きく影響を受けるランキング目標を掲げ続けることの妥当性を問い直している」と軌道修正を示唆。「トップ5までは加速するかもしれないが、そこから先が難しいのではないか」と述べ、癌領域でリーダーシップを取るための具体的方策をさらに検討していくとした。
同社は昨年4月、約8800億円でミレニアムを買収し、生活習慣病領域から癌領域のリーディングカンパニーへの転換を宣言した。これにより、売上高1000億円を超えるブロックバスターに成長した多発性骨髄腫治療薬「ベルケード」を取り込み、開発パイプラインでも、抗α4β7インテグリン抗体「MLN0002」の第III相試験、オーロラAキナーゼ阻害剤「MLN8237」の第II相試験がスタートするなど、癌領域の強化にミレニアム製品が貢献し始めている。
長谷川社長は「ミレニアムの貢献は期待以上」と高く評価しながらも、「癌領域のトップ5までは加速するかもしれないが、そこから先が難しいのではないか」との考えを示し、順位にこだわらない形での、癌領域のリーディングカンパニー実現に向け、具体的な検討に着手していることを明らかにした。
ミレニアムのデボラ・ダンサイア社長兼CEOも、「ランキングの数字にこだわると方向性を間違える可能性がある」と指摘。「差別化できる製品を開発することで、癌領域でのリーダーシップを取っていく」と、ミレニアムの強みを生かす考えを強調。そのためのカギになる製品として、現在開発中のオーロラAキナーゼ阻害剤「MLN8237」、 NEDD8活性化酵素阻害薬「MLN4924」を挙げた。
「MLN8237」は、小児肉腫、卵巣癌、非ホジキンリンパ腫など、幅広い適応が期待される抗癌剤で、標準的治療の併用療法での承認も視野にある。14年の承認申請を目指していく予定だ。また「MLN4924」は、血液癌、大腸癌に効果が期待され、09年内には第II相試験を開始する予定。さらに、プロテオソーム阻害剤「MLN9708」の第I相試験もスタートしている。
今後、ベルケードの皮下注製剤、適応拡大など、さらなる価値最大化が予定されているが、一方で17年に特許切れとなるポストベルケードを見据え、これら開発品を第二世代製品と位置づけていく方針だ。ダンサイア氏は「今後、毎年304化合物を臨床入りさせていきたい」と語った。