第一三共は、術後血栓塞栓症予防を目的とする抗Xa阻害剤「Du‐176b」(一般名:エドキサバン)の国内第III相試験を3月から開始した。2009年度中の申請を目指す。また、米国申請中の抗血小板剤「プラスグレル」について、研究開発の最高意思決定機関(GEMRAD)のジョン・アレキサンダー議長は3月31日のR&D説明会で、「4月末には承認されるのではないか」との見通しを示した。
「Du‐176b」は、第一三共が自社開発を進める抗Xa阻害剤。経口投与が可能で、重大な出血や肝機能障害を引き起こさない特徴を持ち、大型化が見込まれている。既に術後血栓塞栓症(VTE)、深部静脈血栓症(DVT)/肺塞栓症(PE)の予防、心房細動(AF)の血栓塞栓症予防を目的に、欧米、日本、アジアで実施した後期第II相試験が終了。1日1回投与が可能な至適用量を決定し、昨年11月にはAF患者を対象とした国際共同第III相試験「ENGAGE‐AF」をスタートさせた。
ENGAGE‐AF試験は、世界46カ国約1400施設のAF患者を対象に、エドキサバン30mgの低用量群、60mgの高用量群、ワルファリン群の3アームでエドキサバンの有効性・安全性を評価する無作為化二重盲検試験で、2年間で1万6500人の症例登録を予定している。
また3月には、VTE予防の国内第III相試験を開始した。股関節置換術、膝関節置換術を予定している患者を対象に、エドキサバン30mg1日1回投与群の術後血栓塞栓症予防効果をエノキサパリンと比較するというもので、09年度中の国内申請を目指す考え。さらにDVT/PE患者の血栓塞栓症予防を目的とした国際共同第III相試験を09年第四半期にもスタートさせる。
研究開発本部長の廣川和憲氏は、「競合が激しい領域だが、プラスグレルとエドキサバンで血栓症を幅広くカバーし、近い将来、抗血栓剤のグローバルトップ企業になれるのではないか」と自信を示した。