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【英シャイアー・藤原日本代表】希少疾患で日本市場に攻勢‐ターゲットは遺伝子疾患

2009年04月09日 (木)
yakuji_photo
シャイアー社・藤原日本代表

 英シャイアーの日本代表事務所マネージング・ディレクターに就任した藤原聰氏は、本紙のインタビューに応じ、「既に自社製品を導出している日本のパートナー企業を支援すると共に、遺伝子疾患をターゲットに開発品を投入していきたい」と方針を語った。当面は、将来の自社開発・販売に向けた事業基盤の構築を進め、臨床開発中のライソゾーム病、遺伝性血管性浮腫治療薬を日本市場に投入する可能性を探る考えだ。

 希少疾患に狙いを定めるシャイアーは、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)や潰瘍性大腸炎などの治療薬を手がける「スペシャリティーファーマシューティカル」部門、ライソゾーム病などの遺伝子疾患を扱う「ヒューマン・ジェネティック・セラピー(HGT)」部門を事業の2本柱と位置づける。これまでグローバル展開を進める一方、日本市場に関しては、難解な薬事制度を理由に、国内企業へ自社製品を導出するアウトライセンス戦略を基本としてきた。

 ただ最近、日本でも海外データの活用が進み、政府が国際共同治験の推進を掲げるなど、規制環境の大幅な改善が見られるようになった。こうした変化を背景に、シャイアーは世界第2位の医薬品市場である日本への参入を決断した。

 日本市場への参入は、ライソゾーム病などの遺伝子疾患をターゲットに、HGTの将来的な事業基盤を構築することが大きな目的だ。また、スペシャリティー製品に関しては、アウトライセンス戦略を維持し、導出先の国内企業を支援していく方針を打ち出した。

 既にシャイアーの導出品に関しては、大日本住友製薬がファブリー病治療薬「リプレガル」を国内で発売。協和発酵キリンが血小板増多症治療薬「アナグレライド(KRN654)」の国内第I/II相試験を進めている。持田製薬には、潰瘍性大腸炎治療薬「リアルダ」の国内開発・販売権を供与した。

 藤原氏は、「シャイアーが導出している製品が増えてきたこともあり、日本のパートナー企業の活動を支援していきたい」と話す。2005年1月に「未承認薬使用問題検討会議」の初会合が開かれて以後、国内では希少疾患治療薬のスピード承認が相次いだ。このような国民的な関心の高まりも、シャイアーにとって追い風と判断したようだ。

 現在、HGTの開発パイプラインは、遺伝性血管性浮腫治療薬「フィラジル」が第III相試験、ゴーシェ病治療薬「HGT‐3410」、ファブリー病治療薬「HGT‐3310」、異染性白質ジストロフィー治療薬「HGT‐1111」、ポンペ病治療薬「HGT‐3510」が第II相試験中など、充実した状況にある。これらパイプラインの中から優先順位をつけ、日本市場への投入を探っていく方針だ。藤原氏は「当面は、将来の自社開発・販売の基盤作りと位置づけ、あらゆるビジネスケースの可能性を検討していきたい」との考えを示す。現在、日本代表事務所の社員は2人。具体的な方針が固まった段階で増員を予定している。

 今後、シャイアーは、15年までに売上高の25%を米国、カナダ、欧州5カ国以外から確保する長期目標を掲げている。08年度の売上高は、24%増の30億2200万ドル(約3050億円)と急伸長。その中の日本市場に関して、藤原氏は「具体的な売上目標は定まっていない」としながらも、「(欧米以外の)25%の売上に対して、日本は中核的な国として貢献するのではないか」と期待を隠さない。

 ブロックバスターに代わってアンメットニーズへの挑戦が叫ばれる中、ここに来て希少疾患に焦点を当てた新たなビジネスモデルが注目され始めている。藤原氏は「シャイアーはうまくスペシャリティー領域に目をつけ、生物製剤と低分子化合物の両方をカバーしている」と指摘。そのコア技術を強みに、様々なアプローチを生み出せるのではないかと勝機をうかがう。



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