実験用サルの世界的な供給不足により、バイオ医薬品の開発が停滞する懸念が、6月30~7月2日に札幌市で開催された日本毒性学会学術年会で指摘された。実験用サルの航空輸送制限や生産国である中国の輸出禁止措置などにより、ヒトの生殖能力や胎児の発生でバイオ医薬品がどんな影響を及ぼすかを調べる生殖発生毒性試験の実施が困難になっている。日本製薬工業協会からは、サルを試験に用いるのが難しい場合に、バイオ医薬品候補との相同性を示す蛋白質を用いた代替法やヒトの標的分子を発現した遺伝子改変マウス・ラットを医薬品の毒性評価に積極活用することが提案された。
バイオ医薬品が医薬品市場に占める割合は上昇傾向にあり、特に売上額上位100位以内の医薬品に限定すると、2019年時点でバイオ医薬品の割合が約半数を占める。疾患の原因となる標的分子に特異的に作用するバイオ医薬品の安全性評価を行う上で、実験に適した動物種とされているのがヒトと遺伝子学的に近いサルだ。
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