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【海外大手製薬企業09年度決算】買収・再編効果で収益増 ‐米国勢‐

2010年02月23日 (火)

 海外大手製薬企業の2009年度決算が出揃った。米国勢は、トップのファイザー、メルクが大型買収の効果で収益を確保。ブリストル・マイヤーズ・スクイブもバイオ医薬品に事業を集約化した効果が表れ、好業績となったが、ジョンソン・エンド・ジョンソンの医薬品部門は特許切れの影響が大きく、明暗が分かれた。一方、欧州勢は、新型インフルエンザの世界的な流行を受け、ワクチンをはじめ関連製品群が急伸。さらに、日本と新興国市場で軒並み売上を伸ばすなど、好調な決算となった。

米ファイザー/ワイス

 米ファイザーは、主力製品の落ち込みと為替変動の影響を、買収したワイスの製品群でカバーし、売上高は4%増の500億0900万ドルとなった。

 医療用医薬品事業の売上高は、3%増の454億4800万ドル。大型主力製品の高脂血症治療薬「リピトール」は8%減の114億3400万ドル、高血圧治療薬「ノルバスク」が12%減の19億7300万ドル、COX‐2阻害薬「セレブレックス」が4%減の23億8300万ドルと売上を減らした。

 しかし、線維筋痛症治療剤「リリカ」が10%増の28億4000万ドルと伸長したほか、買収で獲得したワイスのバイオ医薬品、ワクチンが売上に貢献し、増収を確保した。

 利益面については、前年度に計上した吸入インスリン「エクスベラ」などの撤退関連費用が発生しなかったことから、純利益は7%増の86億3500万ドルと増益を確保した。

米メルク/シェリング・プラウ

 米メルクは、主力品の伸長によって二桁の増収を確保。利益面では、シェリング・プラウとの合併効果に加え、アストラゼネカからの利益分配が寄与し、大幅な増益となった。

 メルク単体の売上高は、15%増の274億2800万ドル。シェリング・プラウとの合算売上は、459億6400万ドルとなった。主力のアレルギー治療薬「シングレア」は7%増の46億6000万ドル、DPP‐4阻害薬「ジャヌビア」も売上を伸ばし、19億2200万ドルと好調を維持。新製品のHIVインテグラーゼ阻害薬「アイセントレス」は、108%増の7億5200万ドルとなった。

 また、シェリング・プラウとの合弁会社を通じて共同販売する高脂血症治療薬「ゼチーア」は、両社の合算で22億4400万ドル、合剤の「ヴァイトリン」が21億1200万ドルとなり、売上は約5倍以上の統合効果となった。

 純利益は、引き続きアストラゼネカからのプロトンポンプ阻害剤「ネキシム」等の米国販売に伴う分配利益に加え、シェリング・プラウとの統合効果によって、65%増の128億9900万ドルと大幅な増益となった。

米ジョンソン・エンド・ジョンソン

 米ジョンソン・エンド・ジョンソンで医薬品部門は、米国特許切れの主力製品が後発品の攻勢を受け、売上高は8・3%減の225億2000万ドルと減収となった。

 主力の抗リウマチ薬「レミケード」は、14・8%増の43億0400万ドル、新製品の多発性骨髄腫治療薬「ベルケイド」は18・6%増の9億3300万ドルと二桁の伸びを示し、AD/HDを適応とする中枢神経刺激薬「コンサータ」も6・3%増の13億2600万ドルと堅調に推移した。

 しかし、抗精神病薬「リスパダール」が後発品の激しい攻勢を受け、57・7%減の8億9900万ドル、抗てんかん薬「トパマックス」も57・9%減の11億5100万ドルと売上を半減させ、これらが大きく影響したことによって、減収に落ち込んだ。

米イーライリリー

 米イーライリリーは、主力品の堅調な推移によって増収を確保し、利益面では米バイオ企業「イムクローン」の買収に伴う研究開発費の計上がなくなった影響で、営業利益、純利益ともに黒字に転換した。

 売上高は、7%増の218億3600万ドル。抗癌剤「ジェムザール」が、需要の低迷と価格低下の影響を受け、21%減の13億6320万ドルとなったが、主力の抗精神病薬「ジプレキサ」が5%増の49億1500万ドルと堅調に推移。抗うつ薬「シンバルタ」が14%増、糖尿病治療薬「ヒューマログ」が13%増、抗癌剤「アリムタ」が48%増と二桁の伸びを示し、増収に貢献した。

 利益面では、前年度に計上したイムクローンの買収費用がなくなったことにより、営業利益は55億8700万ドル、純利益は43億2900万ドルと黒字転換を果たした。

米ブリストル・マイヤーズ・スクイブ

 米ブリストル・マイヤーズ・スクイブは、子会社の「ミードジョンソン」を分離し、バイオ医薬品事業に集約した結果、主力製品が二桁成長を達成。売上高は6%増の188億0800万ドルとなった。

 主力の抗血小板薬「プラビックス」が10%増の61億4600万ドル、大塚製薬と販売契約を延長した抗精神病薬「アビリファイ」が20%増の25億9200万ドル、抗HIV薬「レイアタッツ」が8%増の14億0100万ドルとなった。

 また、新製品の抗リウマチ薬「オレンシア」が37%増の6億0200万ドル、抗癌剤「スプリセル」も36%増の4億2100万ドルと順調に売上を伸ばした。



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