日本医療機能評価機構の「医療安全情報No.57」によると、医療事故情報収集等事業で2007年1月から今年6月末までに、誤ってPTPシートごと薬剤を服用した事例が14件報告されている。このうち6件は、精神障害、意識障害、認知症・健忘の患者だったという。
PTPシートの誤飲は、90年代に製薬業界が自主的に、シートを細かく切り離せない構造にするなどの防止策を講じたが、00年から10年9月までに86件が発生したとして、国民生活センターが昨年9月に注意喚起。これを受けて厚生労働省が通知を発し、調剤・与薬時などになるべくシートを1錠ずつ切り離さず、誤飲の可能性のある患者の服用時に家族が見守るよう指導したり、一包化調剤を検討するといった対応を医療機関や薬局に求めていた。
機構に集まった事例では、入院患者がアルファロール1錠のみシートから出していないことを忘れて服用し、内視鏡で食道上部から取り出した。また、看護師が内服薬を患者に持参し、一包化された袋の中身とシートに入ったハルナールとアリセプトをカップに入れたところ、シートに入ったまま薬をのみ込み、胃内視鏡を行った事例もあった。
機構の総合評価部会は、「配薬の際にシートに入ったままの薬剤や一包化された薬剤など、違う形態のものを一緒に渡さない」「1錠ずつ切り離したシートは、誤飲の危険性があることを患者に伝えてください」と、誤飲防止を呼びかけている。