厚生労働省は、全国の保健所を通じて報告された2010年の結核登録者の状況を公表した。人口10万人当たりの罹患率は、前年から0・8ポイント減の18・2となった。ただ、減少傾向は続いているものの、未だに年間2万3000人以上の結核患者が発生している。また、罹患率は、米国の4倍以上、カナダ、スウェーデンの3倍以上で、世界的に見ると日本は、「結核中蔓延国」になる。
10年の結核患者新規登録数は2万3261人で、前年に比べ909人減少し、罹患率は、0・8ポイント減の18・2だった。08年と09年は減少率が0・4ポイントと、やや減速していたが、06年、07年並に戻った。
厚労省が5月に施行した「結核に関する特定感染症予防指針」では、結核罹患率を15年までに、人口10万人当たり15以下に抑えることを目標に掲げているが、まだ3・2ポイントの開きがある。
罹患率は都道府県によって、依然として大きな差が見られている。罹患率が最も高いのは、大阪の29・9で、長崎の23・3、東京の23・1と続く。罹患率が低いのは、長野の9・1、群馬の11・0、山形の11・2、宮城の11・3など。長野県は、都道府県罹患率で初めて10を下回り、最も高い大阪府に比べ、3・3倍以上の差があった。
市区町村では、大阪市が47・4、名古屋市が31・5、堺市28・5、東京都特別区29・3で、大都市に高い傾向が見られる。大阪市は、長野県の5・2倍で、地域差は依然として大きい。
また、新規登録患者に占める70歳以上の高齢結核患者の割合は51・2%と半数を超え、その割合も増加傾向にある。しかし、高齢者の罹患率そのものは、減少しており、10年は1万2000人を切った。
新規登録潜在性結核感染症(LTBI)で、治療対象となったのは4930人だった。最も多い年齢層は30歳代の1053人(LTBI治療対象者の21・4%)、次いで40歳代の998人(20・2%)、20歳代の859人(17・4%)で、この年齢層で6割を占めるという結果だった。
一方、外国籍の新規登録患者は,人数・構成割合とも増加した。10年の新規登録患者は952人で、全体の4・1%だった。09年より人数で16人、構成割合で0・2ポイント増えた。外国籍患者の特徴として、20歳代が28・5%、15~19歳が14・7%、30歳代が12・6%と、10代後半から30歳代の若年層が半数以上(55・8%)を占めていた。また、6割以上が入国5年以内だった。