厚生労働省は25日付で新薬を薬価収載する。8成分9品目が対象で、国内初の経口多発性硬化症(MS)治療剤「イムセラ/ジレニア」を有用性加算と市場性加算で評価した。C型慢性肝炎ウイルス増殖を直接抑制する「テラビック」、胃潰瘍用薬から開発したドライアイ治療剤「ムコスタ点眼液」にも有用性加算を認める。原価計算方式で算定した抗てんかん薬「ホストイン」、閉経後乳癌治療剤「フェソロデックス」は営業利益率に加算を付ける。16日の中央社会保険医療協議会で了承した。このほか、18日の中医協で、ウルトラオーファンのクリオピリン関連周期性症候群治療剤「イラリス」の保険適用が了承されれば、同時に薬価収載する。
▽イムセラカプセル0・5mg(田辺三菱製薬)/ジレニアカプセル0・5mg(ノバルティスファーマ)=フィンゴリモド塩酸塩を有効成分とする多発性硬化症の再発予防・身体的障害の進行抑制用薬で、類似薬効比較方式Iにより算定。自己反応性リンパ球の移出を抑制し、中枢神経組織への浸潤を抑える新規作用機序を持ち、既存薬が無効な症例に対する有効性が海外二重盲検試験で示されたため、有用性加算として40%を付け、オーファンドラッグであることを踏まえて市場性加算10%も認めた。
▽テラビック錠250mg(田辺三菱製薬)=テラプレビルを有効成分とするC型慢性肝炎治療剤で、類似薬効比較方式Iにより算定。インターフェロンとリバビリンに同剤を上乗せすることでウイルス量を急激に減少させ、この3剤併用療法が既存の標準治療に代わるものとして、国内ガイドラインで推奨されていることを踏まえ、有用性加算40%を付けた。
▽ホストイン静注750mg(ノーベルファーマ)=ホスフェニトインナトリウム水和物を有効成分とするてんかん重積状態等用薬で、原価計算方式により算定。初めて2~5歳未満の小児適応を持ち、既存薬で問題だった注射部位への刺激性の改善が期待されることを評価して、営業利益率に10%を加算した。
▽プロイメンド点滴静注用150mg(小野薬品工業)=ホスアプレピタントメグルミンを有効成分とする選択的ニューロキニン受容体拮抗型制吐剤で、類似薬効比較方式Iにより算定。
▽テリボン皮下注用56・5μg(旭化成ファーマ)=テリパラチド酢酸塩を有効成分とする骨粗鬆症治療薬で、類似薬効比較方式Iにより算定。
▽フェソロデックス筋注250mg(アストラゼネカ)=フルベストラントを有効成分とする乳癌治療薬で、原価計算方式により算定。ホルモン受容体の数を減らすことで抗エストロゲン作用を示し、既存薬に抵抗性のある患者に対する二次療法として使用できる。化学療法よりQOLが高い内分泌療法の継続を可能にすることを評価して、営業利益率に10%を加算した。
▽ムコスタ点眼液UD2%(大塚製薬)=レバミピドを有効成分とするドライアイ治療薬で、類似薬効比較方式Iにより算定。当初は加算を付けない予定だったが、企業の不服意見を受けて再検討した結果、類薬のヒアルロン酸ナトリウムに比べ、結膜障害などの改善に優越性が検証されていることから、有用性加算5%を認めた。
▽タコシール組織接着用シート(CSLベーリング)=ヒトフィブリノゲンとトロンビン画分、ウマコラーゲンを有効成分とする組織接着剤で、類似薬効比較方式Iにより算定してタココンブに合わせた。