
寺本社長
栄研化学の寺本哲也社長は4月28日、都内で開いた決算説明会で、3月に策定した新経営構想「EIKEN ROADMAP 2009」の推進によって、「3~4年後に売上300億円を達成し、海外の売上比率を現状の5%から10%にまで高めたい」との方針を明らかにした。その上で、「2018年までに検査分野でグローバル企業の仲間入りを実現する」とグローバル化に向けて強い意欲を示した。
同社は3月に、グローバル化に向けた新経営構想を策定し、重点領域として検査分野の強化を挙げている。09年度は、主力製品群の便潜血検査用試薬や尿試験紙、細菌検査用試薬の拡販に加え、独自技術の遺伝子増幅法「LAMP法」を用いた製品開発を進める方針で、売上高は前期比2・6%増の267億8000万円を見込む。
LAMP法を利用した製品では、マイコプラズマとレジネオラ肺炎の検出試薬が国内申請中で、9月の発売開始を見込んでいる。また、ヘルペスウイルスと百日咳菌の検出試薬は、今年度中に研究用試薬として発売を目指す。さらに、スイスの非営利団体「FIND」と提携して開発を進めている結核菌の遺伝子検査法についても、6月にベトナムと日本で臨床試験を開始し、年内にも日本で承認申請を行う考えだ。
一方、海外向けの売上高は、21・6%増の18億7000万円と高い目標を掲げた。主力の便潜血検査用試薬では、米国・欧州に加え、新たに豪州市場にも参入することで、大幅な売上増を目指す。LAMP法関連の製品では、既に日本で販売しているノロウイルス検出試薬やサルモネラ菌検出試薬を米国・中国の市場に投入し、海外展開を加速させる。
また、中国事業担当を新設し、子会社「栄研上海」を中心とした中国での生産・販売体制を整備する。09年度は、胃癌マーカー「ペプシノゲン」の普及に取り組み、中国市場での浸透を図る。
同社は、3~4年後に売上高300億円、海外売上高30億円、営業利益30億円の達成を掲げており、寺本氏は「当面の目標を達成し、グローバル化に向けた次のステップに進めたい」と全力で海外展開に取り組む考えを強調した。