
新ブランドへの期待を述べる上原健常務(右)と久保恵子さん
大正製薬は4月28日から、医療用成分ジクロフェナクナトリウムを医療用と同濃度である1%配合したスイッチOTC外用鎮痛消炎剤「ジクロテクト」シリーズを新発売した。テープ剤2サイズと、ゲル剤、ローション剤の3剤形・4製品で、いずれも第1類医薬品。ジクロフェナクナトリウムのスイッチ化は今回が初めてで、ノバルティスファーマが「ボルタレンAC」シリーズとして4月28日から、エスエス製薬が「イブアウター」シリーズとして今月1日から発売しており、外用鎮痛消炎剤市場の拡大が期待されると共に、シェア獲得への攻防も予想される。大正製薬では30代の男性を中心に積極的な広告・販促活動を行い、新ブランド「ジクロテクト」の認知度向上を図っていく。
主成分のジクロフェナクナトリウムは、1965年に開発されたフェニル酢酸系の非ステロイド性消炎鎮痛剤。シクロオキシゲナーゼの活性を阻害し、痛みや炎症の原因物質であるプロスタグランジンの生成を抑えることで、つらい痛みや炎症に優れた効果を発揮するのが特徴。
日本では医療用医薬品として74年から錠剤(ボルタレン錠)が発売されており、現在も坐剤、経口徐放性カプセル剤、ゲル剤、テープ剤、ローション剤などが医療現場で広く使用されている。今回の「ジクロテクト」シリーズは、同仁医薬化工が製造を行い、大正製薬が発売する。
患部や好みに合わせて選べる四つのタイプを揃えた。テープ剤は、普通サイズの「ジクロテクトテープ」(7cm×10cm、税込み希望小売価格は8枚入り1281円、12枚入り1780円)と、大判サイズの「ジクロテクトテープL」(10cm×14cm、6枚入り1680円)の2サイズがある。いずれも1日1回貼るだけで、24時間効果が持続する。
「ジクロテクトゲル」(25g980円、50g1780円)、「ジクロテクトローション」(50g1780円)は、1日3~4回適量を患部に塗って使用する。広い範囲に塗布することができ、ベタつかずにサラッとした使用感が特徴。テープ剤、ゲル剤、ローション剤ともに、有効成分のジクロフェナクナトリウムが患部に素早く浸透し、痛みや炎症に直接作用する。
大正製薬では、約70年前に「メンフラ」ブランドで外用鎮痛消炎剤市場に参入し、現在に至っているが、約740億円(店頭ベース)とされる市場規模の中で「存在感を十分に示せていないのが現状。新たな『ジクロテクト』ブランドの発売を機に、同カテゴリーでの巻き返しを図り、確固たるポジションを占めていきたい」(上原健常務取締役)と期待を示す。
これまで外用鎮痛消炎剤というと、高齢者が使用するもの、ケガをした時など緊急時に使うものというイメージが強かった。一方、外用鎮痛消炎剤のユーザー調査では、各年代層のうち、最も多く使用していたのが男性の30代で、年次推移でも伸びを示していたことから、メインターゲットを働き盛りの30代男性とした。
同社は今年4月、インターネットによるウェブ調査(全国の30~39歳男性ビジネスマン357人を対象)を行ったところ、責任の重い激務と人間関係もあって、3人に2人は肩こり・腰痛など体の不調を訴えていた。実際に体の衰えなどを感じていても、何も対処していない人が非常に多く、さらに約4分の3が、より強い外用鎮痛消炎剤を求めていたことに着目した。
「これら世代の潜在ボリュームは大きい。こうした人たちへ、ジクロテクトをアプローチし、市場拡大につなげたい」(花輪昭徳ブランドマネージャー)とし、パッケージも「メンフラ」とは大きく異なる、力強さや効き目感を前面にアピールした斬新なデザインを採用した。事前アンケートでも、パッケージは30代男性のみならず女性からも高い評価を得たという。
今月10日からは、30代男性が悩みがちな腰痛に着目した設定の「渋滞篇」「オフィスビル篇」「ディベロッパー篇」という、3パターンのTVCM放映も開始する。CMは『第1類が薬の選び方を変えます。ジクロテクトと呼んでください』と、新販売制度にも触れているのが特徴。
発売日の4月28日には、都内で新製品発表会を開催し、新製品紹介と共に、薬局店頭を再現したコーナーを設け、タレントで薬剤師の資格を持つ久保恵子さんがジクロテクトを使った第1類医薬品の対面販売デモンストレーションも行った。