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米食品医薬品局(FDA)は11月21日、ネクチン4を標的とする抗体薬物複合体であるファイザー社のパドセブ(一般名エンホルツマブ ベドチン)を、筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)の成人患者に対する術前・術後補助療法として承認した。
パドセブは、シスプラチンを含む化学療法が適応外のMIBC成人患者に対し、PD-1阻害薬であるキイトルーダ(一般名ペムブロリズマブ)またはその皮下注製剤であるキイトルーダQLEX(ペムブロリズマブおよびベラヒアルロニダーゼアルファ-PPH)との併用による術前補助療法として承認された。膀胱摘出術後も補助療法として継続投与される。
なお、パドセブとキイトルーダの併用療法は、米国、日本、および世界中の多くの国において、局所進行性または転移性尿路上皮がんの成人患者を対象とした治療薬として、すでに承認されている。
ファイザー社によると、膀胱がんは世界で9番目に多いがんであり、毎年世界で61万4,000人以上、米国では毎年、推定8万5,000人が診断されている。MIBCは全膀胱がん症例の約30%を占めており、標準治療はシスプラチンをベースとした術前化学療法と手術である。しかし、MIBC患者の約半数はシスプラチン治療の適応外であり、さらに膀胱手術を受ける患者の3分の1も適応外である。
今回の承認は、第3相KEYNOTE-905試験に基づいている。この試験では、シスプラチン不適格または投与を拒否した未治療のMIBC患者344人が、術前・術後補助療法としてキイトルーダを投与する群(A群)、手術単独群(B群)、または、術前・術後補助療法としてキイトルーダ+パドセブを併用する群(C群)のいずれかにランダムに割り付けられた。
その結果C群では、B群と比較して腫瘍の再発・進行・死亡のリスクが60%減少し、主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)が統計学的に有意に改善した(ハザード比〔HR〕0.40、95%信頼区間〔CI〕0.28~0.57、P<0.0001)。イベントが起こることなく過ごす確率は、C群で74.7%、B群で39.4%だった。さらに、EFSの推定中央値はC群では未到達だったが、B群で15.7カ月だった。
また、副次評価項目である全生存期間(OS)は、C群ではB群と比較して、死亡リスクが50%減少した(HR 0.50、95%CI 0.33~0.74、P=0.0002)。C群の2年生存率は79.7%だったのに対し、B群では63.1%だった。OSの推定中央値は、C群では未到達だったが、B群では41.7カ月だった。
KEYNOTE-905試験の治験責任医師である米マウントサイナイ・アイカーン医科大学、ティッシュがん研究所のMatthew Galsky氏は、「MIBC患者の半数は、膀胱摘出後もがんが再発する可能性があり、その多くはシスプラチン治療の対象外だ。今回の承認は、EFSおよびOSの大幅な改善に裏付けられており、数十年にわたって新たな治療選択肢がなかった患者にとって、治療方針を変える重要な進歩となる可能性がある」と、ファイザー社のリリースで述べた。(HealthDay News 2025年12月2日)
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https://www.fda.gov/drugs/resources-information-approved-drugs/fda-approves-pembrolizumab-enfortumab-vedotin-ejfv-muscle-invasive-bladder-cancer














