【NEC/MIT】慢性ストレスの客観的・定量的な評価技術を検証‐ストレス予防の社会実装に期待

2026年02月03日 (火)

 NECはこのほど、2023年9月から25年8月にかけ、マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ アフェクティブ・コンピューティング・グループとの共同研究で、就労者の慢性ストレスを継続的・客観的・定量的に評価する技術を検証した。約25万時間に及ぶ実世界のデータを活用し、組織や個人がストレスを理解し対処する方法を強化できるデータ駆動型アプローチの可能性を示すもので、データに基づいたストレス予防の社会実装に期待が持たれている。

 両者は、日常生活の中で無理なくに心拍数や発汗量などに関するデータ収集できる手首装着型センサーを活用し、慢性ストレスを継続的かつ客観的、定量的に評価する研究に取り組んでいます。

 今回の検証では、手首装着型センサーで交感神経の高まりに伴う発汗反応をとらえる皮膚電気活動(EDA:Electrodermal Activity)の変化を連続的に計測。月1回の自己申告式慢性ストレス尺度調査(PSS‐10)とEDA特徴量を統計モデルで照合した。日本企業の従業員381人から合計約24万8000時間(うち就業時間帯14万1000時間以上)のデータを収集、1693回の自己申告調査のスコアを統合して解析した。

 その結果、発汗反応に基づく慢性ストレス検知の可能性が示唆された。数日から数週間にわたって発汗反応が強く、その期間が長いほど、自己申告による慢性ストレスが高い傾向が確認された。交感神経活動の持続的な高ぶりがストレスの高まりと関連するという生理学的知見が、就業者の大規模データで裏付けられる結果となった。

 また、1日の中での発汗反応の変動の違いにより高ストレス期が推定できた。高ストレス期と低ストレス期では、発汗の日内変動パターンが有意に異なることや、高ストレス期には、1分あたりの発汗反応が終日高水準となる時間帯が多く観測される新たな知見も得られた。これまでアンケートでしか評価できなかった慢性ストレスを、発汗の1日の変動から把握できる可能性が示された。

 メンタルヘルスは世界的な社会課題で、欠勤・休職(アブセンティーズム)に加え、体調不良や不調を抱えたまま出勤し、パフォーマンスを十分に発揮できない「プレゼンティーズム」が企業活動に大きな影響を与えている。

 これらの知見は、プレゼンティーズムの早期兆候を捉え、適切な介入タイミングを見極めるための客観指標の提示につながると共に、個人のセルフケアの促進や企業の健康経営・安全配慮の高度化に資する可能性を示すものといえる。


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