
眼内内視鏡保持ロボット「OQrimo」を用いた周辺部網膜観察
(左)OQrimoの外観。(右上)OQrimoに保持された眼内内視鏡を模型眼に挿入した様子。(右下)OQrimoに保持された内視鏡による周辺部網膜の実際の観察画像。
順天堂大学大学院医学研究科眼科学の中尾新太郎主任教授らの研究グループはこのほど、眼内内視鏡保持ロボット「OQrimo」を用い、網膜硝子体手術で従来必須の「強膜圧迫」を行わず、周辺部網膜を観察する比較試験(First-in-Human)を実施した。その結果、ロボット群では圧迫なしでの周辺部観察に成功し、術後炎症等の評価において従来法と同等の高い安全性を確認にした。この成果は、患者の身体的負担軽減に加え、将来の眼科ロボット手術の普及・発展に期待が持てるものといえる。
網膜硝子体手術では、従来の手法では周辺部網膜を観察するために強膜圧迫を行う必要があり、患者に痛みなどの負担が生じる点が課題とされている。
今回研究グループは、OQrimoを用いることで、患者の身体的負担となる強膜圧迫を行わずに周辺部網膜を観察する、新しい眼科ロボット支援手術の安全性と有用性を検証することを目的に研究に取り組んだ。
研究では、黄斑前膜に対する25ゲージ硝子体手術および白内障同時手術を予定している患者16人(16眼)を対象とした。OQrimoを用いて強膜圧迫を行わずに周辺部網膜を観察する「ロボット群」(8眼)と、従来の強膜圧迫法を用いる「従来群」(8眼)に分け、有効性と安全性を比較検証した。
その結果、ロボット群では87.5%(7/8眼)の症例で、強膜圧迫を行わずに周辺部網膜の観察に成功した。ロボットが保持した内視鏡による周辺部網膜の観察範囲は、時計の文字盤(12時間)に換算して平均9.29(±2.13)時間分に達し、広範囲の観察が可能であることが示された。
安全性については、ロボット群の手術時間は従来群より延長したが、術後3時間、24時間、1週間における眼内の炎症度合い(前房フレア値)や、術後1日目の患者の痛みのスコアにおいて、両群間に有意な差は認められなかった。また、ロボット群において創傷治癒は問題なく、両群ともに重篤な手術合併症は観察されなかった。
これらの結果から、眼内内視鏡保持ロボットを用いた強膜圧迫非併用での周辺部網膜観察は、従来法と同等の高い安全性を保ちながら実施可能であることが実証された。
今回の成果は、痛みを伴う強膜圧迫を不要にし患者の身体的負担を軽減するだけでなく、今後の眼科領域におけるロボット支援手術の社会実装を大きく推し進める重要なものといえる。また、この手法により眼科手術において執刀医が両手を使った操作を持続できるため、現在の複雑な網膜硝子体手術への応用や、眼科ロボット手術の発展が期待される。
同研究グループは今後も、このシステムのさらなる手術効率化や社会実装に向けた研究を推進し、より多くの患者に侵襲が少なく身体的負担が少ない安全な眼科医療を提供することを目指していく。
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