
加藤バイオメディカ事業部長
三洋電機バイオメディカ事業部は、高度先端医療の基礎研究の推進・臨床応用に向けた新製品を投入し、細胞治療分野の市場シェアを拡大する。4月に超低温フリーザ、CO2インキュベータ等の新製品を発売。再生医療への足がかりとして、さらに年内に7機種を投入して攻勢をかける方針だ。1日に都内で記者会見したバイオメディカ事業部長の加藤隆一氏は、「iPS細胞の基礎研究、細胞治療の臨床応用への対応を商品として展開し、2012年に市場シェア60%の維持を目指したい」と語った。
同事業部は、2000年にセルプロセッシングセンター(CPC)の発売で細胞治療分野に参入。07年には、世界初のセルプロセッシングアイソレータを発売し、事業展開の強化を図ってきた。こうした中、加藤氏は「iPS細胞の作製成功、省エネ対応の二つの大きな流れに対応しなければならない」と述べ、細胞治療の臨床応用への展開を加速させたい考えを示した。
既にCPCの低コスト、省スペース化を実現したセルプロセッシングアイソレータは、大学・研究所28施設へ33台納入した実績を持ち、4月には省エネを実現した超低温フリーザ、過酸化水素防染システムを新発売し、市場シェアの拡大に乗り出した。現在、細胞治療機器分野で60%とトップシェアを占めているが、加藤氏は「市場シェアにこだわりたい」と述べ、激しい競合の中で12年に60%のシェアを維持したいとした。
特に最近、細胞治療の臨床応用として、免疫細胞治療が一般クリニックにも広がっていることから、同社は11~12年には年間80施設に拡大すると予想。自家細胞移植など再生医療の進展も睨み、09年を再生医療への足がかりと位置付け、市場トップシェアを死守する構えだ。
同事業部の08度売上高は215億円。販売売上構成比は、保存機器34%、実験環境機器21%、培養機器10%となっている。薬用保冷庫、バイオメディカルフリーザ、超低温フリーザ、CO2インキュベータ、細胞治療分野機器は市場トップシェア。