英国の市場調査機関データモニターは、米アボットのソルベイ製薬部門の買収について、「両社は既に脂質異常症治療薬のトリリピックス、配合剤のシムコールに関して連携を強めており、これが今回の契約の下地になった」と指摘。「アボットの売上成長率は大幅に改善し、長期的な買収効果は明白」と分析した。
同社は、アボットがソルベイの買収効果を考慮しなければ、2008~14年の医療用医薬品部門の平均成長率が、わずか0・2%にとどまると予想していた。ただ、主力製品の抗ヒトTNFαモノクローナル抗体「ヒュミラ」、脂質代謝性疾患治療薬「トライコール」をめぐる訴訟に加え、多くの製品群がジェネリック薬(GE薬)との競争に直面。「パイプラインが脆弱で、こうした競合圧力を軽減するには十分ではない」と、買収の背景を分析した。
その上で、アボットは医療用医薬品のポートフォリオ強化が必要であること、戦略的フォーカスを脂質異常症に置いていることを挙げ、「ソルベイとの契約は以前から予想されていた」とし、既にアボットが「トリリピックス」「シムコール」に関して、ソルベイと連携を強化していたことが、今回の買収の下地になったと指摘した。
また、ソルベイの買収で、脂質異常症市場から、年間10億ドル近い追加収益が見込めるとし、10年には40億ドルの貢献が予想されると分析。アボットの年間売上高は25%上昇し、08~14年の売上成長率予測が、買収前の0・2%から4・6%に大幅に改善するとの見通しを示した。