日本化薬は1日、2010~15年度までの中期事業計画を発表した。医薬事業本部は、ジェネリック抗癌剤のトップシェア獲得を軸とし、新たな事業の柱に癌領域のIVR(血管内治療)事業を位置づけた。最終年度となる15年度には、高分子ミセル化抗癌剤、バイオ後続品、IVR領域の血管塞栓剤を上市し、売上高1000億円の達成を目指す計画を打ち出した。
新中期事業計画は、10~12年度の「フェーズI」と13~15年度の「フェーズII」の二段階で進める。医薬事業は、フェーズIで研究開発投資を先行させ、フェーズIIで成果を上げる牽引役と位置づけ、癌関連領域に特化した「スペシャリティー」「ジェネリック」「IVR」を事業の柱とする基本戦略を打ち出した。
特に成長基盤を支えるのがジェネリック事業。現在30%を超える抗癌剤GE薬「パクリタキセル注NK」の数量シェアを12年度までのフェーズIで50%に引き上げ、他の抗癌剤GE薬についてもNKブランドをさらに拡大する。興和テバと提携したバイオ後続品のG‐CSF製剤「TKN732」は13年の上市目標を掲げている。
一方、スペシャリティー事業の中心は、ミセル化抗癌剤となる。12年度まで積極的に研究開発費を投下し、早期のPOC獲得を目指すと共に、癌領域の製品導入、共同販促を進めることで、継続的な新薬パイプラインの充実を図る。日米で第II相試験中のミセル化抗癌剤「NK012」は、最短で15年度の承認取得を狙う。また、胃癌を対象とした国内第II相試験で好結果が得られた「NK105」に関して、今後の開発計画を検討中としている。
IVR事業は、既に動注用シスプラチン「アイエーコール」、血管内塞栓促進用補綴材「ジェルパート」を販売し、約20億円の売上高を計上しているが、さらに血管塞栓剤「NK938」(ヘパスフィア)、「NK939」(エンボスフィア)の2製品を投入し、癌領域に特化した新たなIVR事業のビジネスモデルを立ち上げる。昨年、米社から導入した血管塞栓剤は前臨床段階にあるが、10年内には臨床試験を開始し、13年には上市する計画だ。
さらに、本格的な海外展開にも乗り出す。当面はミセル化抗癌剤の海外開発、生産拠点の可能性を検討する方針だが、ミセル化抗癌剤の上市後には、海外自販体制を立ち上げるかどうかも検討課題になると見られる。
こうした取り組みの結果、医薬事業の売上高を12年度には620億円、最終年度の15年度には1000億円の大台に引き上げる。09年度比で倍増の計画となるが、取締役常務執行役員医薬事業本部長の萬代晃氏は、「抗癌剤GE薬をベースに品揃えを増やし、フェーズIで新製品の仕込みを行い、フェーズIIではミセル化抗癌剤、バイオ後続品、血管塞栓剤の上市を実現し、1000億円を達成したい」と述べた。