カルナバイオサイエンスの吉野公一郎社長は13日、都内で開いた決算説明会で、2012年12月までの今年度内にキナーゼ阻害剤を導出する方針を示した。当初、昨年度にリード最適化段階の1テーマを導出する計画だったが、製薬企業等とのライセンス交渉過程で動物実験データを求められたことから、マウスの前臨床試験を実施した上で、改めて導出を目指すことにした。吉野氏は「いよいよ複数のテーマがリード最適化の終盤に差しかかっており、今年こそライセンス化していきたい」と意欲を語った。
同社は、キナーゼをターゲットとした創薬研究を手がけており、特に大腸癌治療薬として、国立がん研究センターと共同研究中のTNIK阻害剤を最重点テーマと位置づけている。
また昨年、バイオベンチャーのキノファーマと神経変性疾患治療薬の共同研究契約を締結し、ダウン症やアルツハイマー型認知症の発症に関わるDYRK1A阻害剤の研究開発も進めてきた。
現在、これらキナーゼ阻害剤のリード最適化が終盤に差しかかっており、年内にもマウスの前臨床試験を終了させ、導出契約を締結したい考え。12年度の創薬事業は、ライセンス契約一時金収入として1億円の売上高を計画。さらに13年度は、臨床試験入りによるロイヤルティ収入等を見込み、売上高4億円を計画している。
吉野氏は「今年は設立から10年目の節目に当たるので、今年こそパイプラインの導出を実現し、来年には黒字化を目指したい」と語った。