健康な身体づくり支援‐在宅医療を通じ必要性実感

神谷薬局竜洋西店
JR浜松駅から東におよそ7km、天竜川にほど近いところに立地する神谷薬局竜洋西店(静岡県磐田市)。代表取締役・管理薬剤師の神谷徳彦氏は、介護保険が開始される前から長年にわたり、在宅医療に取り組んできた。その経験から、現在では「いかにして健康な身体をつくるか」をキーワードに、総合的に地域住民の健康を支援する取り組みに力を入れている。
高齢者の多い地域性もあり、在宅や訪問のほか、一般用医薬品の販売など、広く地域住民の健康増進に貢献する。処方箋枚数は約1300枚/月、スタッフは薬剤師が4人、事務員2人。
現在の店舗の開設前から積極的に在宅医療へ取り組んできた神谷氏。在宅での活動を始めたのは約16年前からで、訪問していた患者数は多いときで40人以上、延べ訪問回数が月で100件を超える時期もあったという。
健康に対する意識づくり‐学校薬剤師活動で講義も

神谷薬局のスタッフ(左が神谷氏)
介護保険開始前から在宅医療へ取り組んできた経験から、神谷氏が実感したのは「患者さんに薬を服用してもらうだけでは解決にはならない。すでに薬を飲んでいる人に対しては、いかに問題として考えてもらえるか、まだ病気になっていない人に対しては、いかに病気にならないで健康が維持できるのか。地域住民の一人ひとりが健康に対する意識を高めることが、なにより重要」ということだ。
そこで神谷氏が現在、もっとも力を入れているのは「どうやったら身体を正常な状態に戻せるのか。結果、薬の服用を減らすことに結びつくことをいかに理解してもらえるか」だ。
「医療従事者は薬という道具をたくさん持っているため、それに頼りすぎている部分もある。副作用の発見・防止は薬剤師の仕事だが、そもそも薬を服用せずに済む状態になれば副作用も起きない」との考えを示す。
自称“健康オタク”という神谷氏。患者に対するアドバイスは、自身の体験に裏づけされた説得力あるものが多い。例えば、血圧の薬一つを例に挙げても「薬を服用することで治るわけではないとはっきり説明する」とする。その上で、患者の生活の問題点を一緒に考え、必要なアドバイスを提供する。
日々の業務で、予防への取り組みの必要性を痛感するという神谷氏は、学校薬剤師活動でもその思いを行動に移している。「子どもたちに薬学講座を行うときは、薬の正しい飲み方だけではなく、自己の責任で健康管理をすることが最も重要であることを話す。薬は必要なときに服用するもので、必ず有害性と有効性を考えた服用が必要なことを、子どもの時から理解してもらうことが重要」との考えを貫いている。
電子薬歴で検索時間を短縮
予防も含めた地域住民の健康のために活動する同薬局では、業務の効率化や時間短縮のための取り組みの一環として、パソコンの切り替えに合わせてユニケの活用型電子薬歴システム「P‐POS」を導入した。
導入の動機とは、大きくは保管場所の問題だ。「紙で保存している限り、いつかは保管しきれなくなる。紙薬歴を書き換えるのも大変な作業だし、その手間を考えると電子薬歴が妥当」と語る。紙から電子媒体への移行期は、「患者が一巡する1カ月程度は大変だった」というが、それ以降はスムーズに活用できているという。

電子薬歴ですばやい情報検索
導入したことによる利点は、▽保管場所が不要となった▽検索がすばやい――など。特に検索については、「探す行為が必要ないので、確実に時間が短縮できた」とする。
今後の課題は、災害時にいかに患者情報を持ち出すか、あるいは参照するかなどを検討中だと話す。
「最低限、情報の入力ができなくても、患者情報の検索だけはできるツールが必要。また、端末としては、今後はノートやデスクトップだけではなくiPadなどタブレット型端末で、店内のどこでも患者情報を閲覧できるものがあればとても便利になるだろう」とメーカーへの期待を語った。
株式会社ユニケソフトウェアリサーチ
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