医療機関・地域におけるフォーミュラリーの導入・実践に向けたシリーズ第2弾!

医療費削減に向けた「合理的及び経済的な医療提供」、患者のために「医師、薬剤師が標準薬物治療を行うための指針」として活用が期待されるフォーミュラリー。
本書では、フォーミュラリーの策定・導入方法に加え、作成後の使用状況把握や薬物治療の質を維持するためのマネジメント手法について紹介・解説しています。
また、地域包括ケアの推進や地域における薬物治療の標準化、医薬品提供体制の効率化などの観点から、今後ますます重要となる『地域フォーミュラリー』の導入についても展望を含め記述しています。
推薦のことば
国際医療福祉大学大学院教授 武藤正樹 氏
フォーミュラリーとは「医師や薬剤師が標準薬物治療を行うための指針」のことだ。実はフォーミュラリーがあると一番助かるのは医師だ。私も週2回、国際医療福祉大学の本校のある栃木で一般外来を行っている。外来をしていて困るのは同種同効薬がやたらと多いことだ。ARB、PPI、スタチン、DPP4など、それぞれの薬効群の数ある同種同効薬のなから、どの薬を選んでよいのかわからない。それぞれ薬の特徴を見分けて使い分けすることなど、自分の専門領域以外では、とても調べきれないし覚えきれない。おそらく全ての医薬品に精通して、使い分けをしている医師などいないだろう。ましてや患者の自己負担軽減のため薬価の違いまで気にして処方している医師など皆無だろう。
フォーミュラリーはこうした忙しい現場の医師に代わって、専門の医師・薬剤師からなるフォーミュラリー委員会が、医薬品のガイドラインの確認や論文検索、相互作用の確認や経済効果などまで考慮して薬を選んでくれる。本書「フォーミュラリーマネジメント」は、フォーミュラリーの第一人者である増原慶壮先生が代表を務めるフォーミュラリー編集委員会が作成した。本書では院内フォーミュラリーから地域フォーミュラリーまで幅広く、しかも国内事例、海外事例と幅広く豊富な事例をもとに編集されている。これからフォーミュラリーを作成される方やフォーミュラリーに関心を持つ方にはうってつけの良著だ。
さてフォーミュラリーは作っただけでは終わらない。次々と出てくる医薬品に対応してメインテナンスが重要だ。さらにその効果についても医薬品使用実態調査を通じて検証することが必要だ。フォーミュラリーを作り(PLAN)、実施し(DO)、調査(SEE)するフォーミュラリーのマネジメントサイクルを回転させてフォーミュラリーを育てていくことが大切だ。
本書を手に取っていただいて、全国の病院、地域でフォーミュラリー活動が始まることを期待したい。
目次
第1章 フォーミュラリーがつくるこれからの医療 情報編
●フォーミュラリーをつくり、地域医療に定着させるための提案
増原慶壮 日本調剤株式会社取締役(フォーミュラリー事業推進部)
●行政からみたフォーミュラリーに期待すること
安川孝志 厚生労働省医薬・生活衛生局
●地域医療連携推進法人と地域フォーミュラリー
栗谷義樹 地方独立行政法人山形県・酒田市病院機構日本海総合病院理事長
●保険者による地域フォーミュラリー提案の取組み
名波直治 全国健康保険協会(協会けんぽ)静岡支部企画総務グループ長
●保険薬局と地域フォーミュラリー
深井克彦 日本調剤株式会社常務取締役
第2章 フォーミュラリーマネジメント 運用・管理編
●フォーミュラリーのメンテナンスとモニタリング
上田彩 日本調剤株式会社フォーミュラリー事業推進部部長,元聖マリアンナ医科大学病院薬剤部
●米国における病院でのフォーミュラリーマネージメント
岩澤真紀子 北里大学薬学部臨床薬学研究・教育センター臨床薬学(医薬品情報学)
●米国における薬局でのフォーミュラリーの管理
大野真理子 ウォルグリーンズ
●英国におけるフォーミュラリーマネジメント
荒川直子 Assistant Professor in International Pharmacy, School of Pharmacy, University of Nottingham, UK
●DRUGDEX®を活用したフォーミュラリーマネジメント ~作成から更新~
上塚朋子 福井県済生会病院薬剤部
第3章 フォーミュラリー最前線 導入病院の実践事例等
●横浜市立大学附属病院
小池博文 横浜市立大学附属病院薬剤部
●東京女子医科大学病院
木村利美 東京女子医科大学病院薬剤部薬剤部長
●新座病院
金井紀仁 戸田中央医科グループ医療法人社団青葉会新座病院薬剤科主任
●医誠会病院
長橋かよ子 医療法人医誠会医誠会病院薬剤部部長、病院群薬剤師統括マネジャー
●おんが病院
後藤康秀 遠賀中間医師会おんが病院薬剤部薬剤部長
●在宅医療からのフォーミュラリー普及の可能性
佐藤貴之 日本調剤株式会社フォーミュラリー事業推進部
●地域フォーミュラリーシミュレーション ~地域で取り組めばこんなに医療費が削減される!?~
関こころ (株)嵯峨野メディカルコピーライター,(株)メルス技研病院コンサルタント,元日本調剤株式会社フォーミュラリー事業推進部
【編集】フォーミュラリー編集委員会(’19.8)
【判型・頁】B5判・247頁
【定価】4,180円(消費税込み)
ISBN:978-4-8408-1499-7 C3047
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