日本OTC医薬品協会会長 佐藤誠一

新型コロナウイルス対策、脱炭素社会の構築、デジタル化を柱とする2021年度税制改正大綱が、昨年12月に決定しました。今月には通常国会が召集され、税制改正関連法案が審議されることになります。当協会が要望してきたセルフメディケーション税制については5年間の延長、対象品目の拡大、手続きの簡素化が実現される運びとなります。
当協会は、セルフメディケーション税制について、17年以降、普及啓発活動に努めると共に、様々な調査を実施してきました。それらの結果を踏まえ、昨年7月に厚生労働大臣に税制改正要望を提出させていただきました。その結果、厚生労働省の税制改正要望に、当協会の要望をほぼ反映する形で取り上げていただきました。
当協会としては、制度の恒久化とさらなる対象品目の拡大を目指し、今後5年間をかけて今回の品目拡大による効果を含め、引き続き検討していきます。
もう一つの当協会の課題であるスイッチOTC等の促進によるOTC医薬品の範囲と国民の選択肢拡大については、昨年閣議決定された規制改革実施計画で、具体的な推進策が示されました。
一方、16年以降、スイッチOTC化の可否を実質的に決定してきた「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」では、昨年7月から年末にかけて中間とりまとめの議論が行われてきました。
当協会も第12回の評価検討会議に参加してヒアリングを受け、新スイッチスキーム以降、スイッチOTCの承認品目数が減少している現状とOTC医薬品の具体的な領域・範囲の考え方、スイッチOTCの評価プロセスのイメージについて意見を述べさせていただきました。
一昨年12月の第9回評価検討会議以降、1年以上スイッチ候補成分の審議がストップしている状況ではありますが、当協会としては、規制改革実施計画で示されたセルフメディケーション推進策を検討するための「部局横断的な体制構築」が早期に実現されることを期待しています。
新型コロナウイルスの感染拡大は、日本経済や国民生活に大きな影響を及ぼしました。当業界においても少なからず影響を受けています。ウィズ・コロナ時代の「新たな日常」に対応した予防・健康づくりとして、国民一人ひとりの行動変容、新しい生活様式への移行が求められています。
当協会は、医療資源が制限される状況で健康リテラシーの向上を基軸としたセルフケア・セルフメディケーションの推進が国民の健康維持に必要との認識が今後、浸透すると考えています。