厚生労働省医薬・生活衛生局長 八神敦雄
新型コロナウイルス感染症については、新たな変異株の発生や季節性インフルエンザと同時期に流行する懸念があり、依然として楽観を許さない状況が続いております。
新型コロナウイルス感染症対策としては、治療薬やワクチン、検査キットなどを、有効性・安全性等をしっかりと審査した上で承認し、国民への提供に努めてきました。昨年5月には医薬品医療機器等法を改正し、感染症蔓延時など緊急時には安全性の確認を前提に、有効性が「推定」できれば条件等を付けて迅速に承認を行う制度を創設しました。これにより、昨年11月には新型コロナウイルス感染症の治療に用いる初の国産経口薬について緊急承認を行ったところです。
また、新型コロナウイルス感染症の抗原定性検査キットについては昨年8月にOTC化を行い、インターネット等での販売を可能としました。感染が拡大する中で濃厚接触者の待機時間短縮等に活用でき、限りある医療資源を重症化しやすい方に集中することを可能とするため、OTC化に踏み切ったものです。
さらに今冬、季節性インフルエンザと同時期に流行した場合も想定し、昨年11月には同時検査キットについてもOTC化を行ったところです。引き続き基本的な感染予防においてもご協力をお願い致します。
今月末には電子処方箋の運用を開始する予定です。これにより、処方や調剤された内容の閲覧や重複投薬等チェックの結果確認が可能となります。昨年は医療機関、薬局を対象とした説明会の実施や、10月末から4地域でモデル事業を開始しました。できる限り多くの医療機関、薬局に参加いただけるよう取り組みを進めていきます。
薬局、薬剤師については、昨年はPCR等検査無料化事業への協力や、オンライン服薬指導を恒久的に可能としたことなど多様な役割を果たしていただきました。また、「薬局薬剤師の業務及び薬局の機能に関するワーキンググループ」を設置し、薬局薬剤師の業務など具体的な対応の方向性を取りまとめました。今後も薬局、薬剤師がより良い医療を提供できる環境を整備するため検討を進めていきます。
また、医薬品の製造過程における品質問題に端を発した医薬品の安定供給が近年問題となっています。引き続き業界団体や都道府県など関係機関と連携し、医薬品の品質確保のための対策を推進していきます。