日本保険薬局協会会長 首藤正一

昨年は、引き続き新型コロナウイルスの変異によって繰り返された感染の波、ロシアによるウクライナへの侵攻など暗く悲しい出来事が続きましたが、福岡での日本薬局学会学術総会は、切望していたリアルでの開催を3年ぶりに実施することができました。
実際にはオンライン配信も合わせたハイブリッド形式にて開催し、会場にお越しの4000人、オンラインにて聴講の3300人の計7300人の方にご参加いただき、厚生労働省をはじめ各界の皆様のご協力のおかげで盛会のうちに閉会することができました。
薬局の現場では、日々の業務に加え、新型コロナ抗原検査キットや内服薬の供給、ワクチン接種の各種相談、さらに医薬品の供給問題対応も重なり多忙な中、参加いただきました皆様に改めてお礼申し上げます。
さて、当業界においては、昨年の調剤報酬改定で管理や指導等、薬局における薬剤師の業務ごとに報酬が細かく分類されたことなどに加え、リフィル処方箋の仕組みも新たに導入されました。当協会では「リフィル処方箋の手引き(薬局版)」を作成するなど、薬局が患者さんの状態確認、処方医への情報提供、受診勧奨等を適切に行えるよう対応してきました。
また、コロナ禍により顕在化したデジタル化の遅れを取り戻すため、医療界でもマイナンバーをキーとしてDXが進んでいくことでしょう。オンライン資格確認、保険証とマイナンバーカードの統合、そして電子処方箋の運用も始まります。導入には様々な困難もありますが、これらによってもたらされるメリットは計り知れません。行政や他業種とも緊密に連携を取りながら、スムーズな導入と運用に向け取り組んでいきます。
日本保険薬局協会は今年、設立20年を迎えます。会員薬局数は全薬局の30%を超える規模の組織に成長しました。最近は調査や研究の協力依頼を多くいただくようになり、経営者団体だからこそ得られる情報を収集・分析して各方面に提供しております。今後は未来の薬局のあり方や役割も具現化して発信できるよう研究活動と広報にも力を入れていきます。
収まる兆しの見えないコロナ禍や医薬品の供給不足には、引き続き地域や他団体と連携して対策を講じていきます。保険薬局が地域住民のニーズに寄り添ったサービスの提供を行い、その機能を強化することで日本の医療の発展に貢献できればと願っています。