帝人の大八木成男社長は4月27日、都内で記者会見し、中長期的な戦略を含めた経営基本方針を発表した。その中で、医薬医療事業を成長戦略の注力事業と位置づけ、2020年には売上構成比率を1・3倍の20%にまで引き上げる方針を打ち出した。大八木氏は、特に痛風治療薬「フェブキソスタット」が成長ドライバーになるとの認識を示し、「将来的には、グローバルで売上高1000億円をターゲットに育てていきたい」との方針を明らかにした。その上で、「20年に20%の目標は、相当に努力をしていく必要がある」と述べ、M&Aを含めた展開を目指す考えを示した。
同社は、08年度決算の最終利益が434億円の赤字となる見通しとなった。こうした業績の悪化を受けた基本方針では、短期的な緊急対策として、不採算分野の抜本的な見直しや事業構造改革、固定費圧縮、労務費削減などを断行し、10年度の黒字転換を目指す姿勢を打ち出した。
一方、中長期的な持続成長に向け、技術革新を核にしたグリーンケミストリー、ヘルスケアを注力事業と位置づけていく戦略を明確にした。大八木氏は「この二つの事業を軸に、グローバルエクセレンスを獲得したい」と反転攻勢に意欲を示し、20年までに事業ポートフォリオの中心を、汎用素材事業から高機能素材事業・新事業、医薬医療事業へと舵を切る方針を明らかにした。医薬医療事業の売上構成比は1・3倍の20%にまで拡大する。
その成長ドライバーとなるのが、グローバル展開を加速させている痛風治療薬「フェブキソスタット」で、大八木氏は「将来的には、グローバルで売上高1000億円をターゲットに育てていきたい」と期待を語ると共に、在宅医療事業ではリハビリ領域を視野に入れた新展開を目指すとした。
その上で、「20年に売上構成比20%を実現するためには、相当の努力をしていく必要がある」と指摘し、M&Aを含めた事業展開を視野に入れていく考えを示した。