日本医薬品卸業連合会は22日、2006年4月現在における「卸経営に関するアンケート」調査結果(会員70社)の概要を発表した。それによると、売上総利益率は過去最低の7.91%にダウンするなど、依然厳しい経営状況が続いているものの、一昨年の反省に立って営業・経営努力に取り組み、価格下落防止、販管費圧縮などの目標を達成し、改善に向けて成果が見え始めた。概要を説明した経営管理委員会の枝廣弘巳委員長は、今後の課題として、[1]適正価格での納入による適正利益の確保[2]物流体制の再構築など、販管費削減等の経営努力[3]医療保険に対応した2カ月回収の追求、個別ケースに応じた金融リスク管理など、債権管理の強化[4]仮納入・仮払い、総価取引、返品問題など、不適切な商慣習の是正・改善に向けた継続的な取り組み――の4点を挙げた。
今回の概要は、できる限り速く卸経営の概況を公表することを目標に、取りまとめの作業が進められ、昨年より約1カ月早く発表された。そのため有効回答数は70社(回収71社)と、前年の81社に比べ11社も少ないことから、事業所数や売上高など実数の単純比較はできない。
事業所数(本社70社)は1596カ所(前年1782)、従業員数は3万9718人(4万4847人)で、内勤・外勤比率は52.06対47.94、1事業所当たり24.9人だった。
年間総売上高は7兆5319億0700万円(7兆8176億6400万円)で、年間医薬品売上高は6兆8538億9100万円、医療用医薬品の売上高は6兆3040億3000万円であった。昨年からは、大規模化したグループ内の売上高(二重計上)を補正した集計方法を採っているため、クレコンのデータ(市場実態)に近い数値となっており、「ほぼ市場の状況を捉えている」(枝廣氏)との判断だ。
売上高の伸び率3.76%は、クレコンデータの市場の伸び率(医薬全体)3.64%とほぼ同じ。売上総利益率をみると、05年(04年度)は薬価改定初年度にも拘わらず、対前年比0.34ポイントも低下し、一気に8%台を割り込んで7.96%まで大きく下落したが、06年は価格政策が一定の成果を上げ、0.05ポイントの低下に抑え込むことができた。
◇販管費率も大幅な改善
また、販管費、人件費、従業員数の各伸び率と、人件費率、交際費率、販促費率、車両費率は何れも前年を下回るなど、各卸の経営努力を反映した結果が現れている。販管費率は7.11%と前年から0.40ポイント減少したが、この低下傾向は大手卸ほど大きい模様。営業利益率は、売上総利益率が0.05ポイント低下したものの、販管費率も0.40ポイント減少したため、前年の0.45%から0.36ポイント改善し、0.81%になった。
MSの販売生産性は、前年はグループ内補正により10万円減少していたが、06年は226万円向上している。利益生産性も、人員削減と利益増により全社員、MSとも増加した。
在庫月数は、初めて0.4カ月台に突入した。枝廣氏は、物流センターへ投資し、ロジスティクスを整備した効果ではないかと見ている。債務月数も初の3カ月台、売掛債権月数も初めて2カ月台に入り、メーカーへの支払い、顧客からの回収サイクルが早まる傾向を示している。