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【薬剤師のスキルアップと生涯学習】京都薬科大学 生涯教育センター

2023年07月14日 (金)

メンター教員が手厚く支援

京都薬大キャンパスで演習を受ける履修生

京都薬大キャンパスで演習を受ける履修生

 京都薬科大学が2020年度に開設した社会人向けの生涯教育「レーマンプログラム」が4年目を迎えた。専門・認定薬剤師資格取得に必要な症例報告書の作成や研究実施、論文執筆を、それぞれ1年のコースで支援するもの。講義や演習だけでなく、京都薬大の教員がメンターとなって履修生と2~4週間に1回程度面談して手厚く支えることが特徴だ。実際に履修生が専門や認定の資格を得たり、職場の薬局で論文抄読会を立ち上げたりするなど、成果が出始めている。

 今年度の履修生は11人で、内訳は「症例報告書作成コース」2人、「研究計画・実践コース」7人、「論文作成コース」2人。履修生の2割はコースをステップアップして学び続けており、論文作成コースの2人は、過去2コースを経て今年度から最上級コースに達した。研究計画・実践コースの7人のうち4人は、前年度の症例報告書作成コースの履修生だ。

 履修生はeラーニングで年間20本前後の講義を視聴。1年間に9日ほど京都市にある京都薬大キャンパスに出向いて演習や講義を受けるほか、オンライン会議システムでも演習を受ける。綿密なカリキュラムで、論文を読む力や論文検索方法、研究実践に欠かせない統計の知識等を修得。基礎薬学の科目として薬物動態学や有機化学、病態生理学なども学んで、症例報告や研究に反映させる。人工知能(AI)やICTの活用、リーダーシップを学ぶ機会もある。

 赤路健一学長をはじめ大学全体で支援体制を構築した。他大学の生涯研修と大きく異なるのは、履修生に1対1で大学教員がメンターとしてつくことだ。履修生はプログラムと併行して自身の研究の計画や進行、論文執筆に取り組む。メンター役の教員は2~4週間に1回程度、オンラインで面談して進行状況を確認したり、困りごとの相談に応じたりして履修生を支える。

左から村木氏、辻本氏

左から村木氏、辻本氏

 京都薬大生涯教育センター長の村木優一氏(臨床薬剤疫学分野教授)は「履修期間中、常に相談できる相手がいるのは大きい」と語る。

 メンターは若手が中心で、基礎系の教員も含まれる。履修生と接点を持つことで、臨床現場で薬剤師が何に困っているのかを知り、教員の視野が広がる。取り組む研究にも好影響が及ぶ。

 辻本雅之氏(臨床薬学分野講師)は「時間的には大変だが、メンター役の教員は積極的に楽しんでいる。基礎と臨床で視点が異なり、良い相乗効果がある」と話す。

 開設後4年間の履修生は合計で約40人。薬局薬剤師が6割、病院薬剤師が4割を占め、年代は30代が中心だ。専門・認定薬剤師の資格を取得したいが職場に指導者がいない中小病院や薬局の薬剤師が履修するケースや、チェーン薬局が人材育成の一環として履修を後押しするケースが多い。関東や山陰など遠方からの履修申し込みもある。

 これまでの取り組みで、履修生が実際に専門や認定の資格を取得するなど、成果が現れ始めた。関連学会のシンポジストとして講演したり、薬剤師向け勉強会で講師になったりするなど、活躍の場が広がっている。

 ある履修生は、英語論文を読むジャーナルクラブを自分の薬局でも開始した。「そうやって裾野が広がるのは嬉しい」と辻本氏は語る。

 レーマンプログラムは、このほど実施された大学基準協会の認証評価で、京都薬大の社会貢献事業の「長所」と認定された。地域医療や医療ネットワーク構築のキーとなる人材の育成も視野に入れた社会貢献性の高いプログラムとして、第三者の視点から高く評価された。

 今後、過去の履修生も参加できる機会を設けて、施設の壁を越えた履修生の横のつながりを強める計画。薬学生にも現場の薬剤師が懸命に取り組む姿を見てもらい、刺激を与えたいという。

 村木氏は「将来、履修生が社会人大学院に入学するつながりが生まれれば良い。ここでの教育内容を学部にも落とし込みたい」と語る。

 将来は履修生がメンターになるなど、学内外でレーマンプログラムに関わる人材を増やしたいという。他大学や関係団体、関係学会とも連携し、全体で卒後の臨床薬学教育の充実を図りたい考えだ。

京都薬科大学 生涯教育センター
https://skc.kyoto-phu.ac.jp/support/lehmann.php



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