日本薬剤師会は25日までに、後発医薬品の使用状況に関する調査結果をまとめた。今年405月に発行された処方せんのうち、「後発医薬品への変更可」等が約18%あったのに対し、実際に後発品へ変更されたのは僅かその1割程度に過ぎず、後発品への切り替えが、あまり行われていない状況が明らかになった。さらに、▽患者が後発品を希望した場合、多くは備蓄している後発品を調剤した▽後発品に変更する理由として、患者は「一部負担金の軽減」「テレビCMなどを見て」を挙げている――なども分かった。日薬では、この調査は処方せん様式が変更された直後に実施されたもので、初期の状況の一端を示しているが、必ずしも現状を表しているとはいえないとし、秋をメドに再調査を行う構えだ。
調査は、日薬の医療保険委員会、職能対策委員会の委員が所属する保険薬局、及び各委員を通じて協力を依頼した保険薬局を対象として、7月14日08月6日まで、日薬ホームページを通じてWebアンケート方式で実施され、126薬局から回答が得られた。今回は速報値として結果をまとめたもので、今後詳細な検証を行う予定である。
調査結果によると4月分については、?1施設当たりの取り扱い処方せん数が1915枚、これに対し?後発品への変更可処方せんや一般名処方せんは347枚(18.2%)?実際に後発品に変更された処方せんは31枚(1.6%)?後発医薬品情報提供料の算定回数は4.1回(0.2%)――であった。同様に5月分についても、?1992枚?371枚(18.6%)?35枚(1.8%)?4.9回(0.2%)――で、4月分と大差ない状況であった。
「変更可」等の処方せんを発行した診療科(複数回答)は、2カ月間を通じて内科が83%で最も多く、次いで整形外科34%、耳鼻咽喉科27%、精神科・神経科、外科、皮膚科がいずれも19%であった。
患者が後発品を希望した場合の対応(複数回答)では、「備蓄している後発品に変更して調剤した」が71%、「必要な後発品の備蓄がなかったため、直ちに手配して調剤した」が52%、「(必要な後発品の備蓄がなく、直ちに手配したが対応できなかったため)処方せんに記載されている医薬品を調剤した」が29%となっている。
また、薬局が後発品を採用する場合の基準(複数回答)として最も多かったのは「安定供給」の76%であり、保険薬局が初期段階で供給を重視していたことが分かった。
次いで「適応症」64%、「入手、納品に要する時間」62%、「取引医薬品卸での取り扱いの有無」57%、「溶出性以外の科学的データ(安定性、生物学的同等性、添加物等)が揃っている医薬品」55%、「メーカーによる情報提供、情報収集の体制」55%、「小包装品の有無」51%と続く。そのほか「メーカーの規模、知名度」「オレンジブックに収載されている医薬品」なども有力な採用基準として挙がっている。
増加する薬局の備蓄品目
変更理由は負担軽減が最多
一方、患者の認識に関する質問では、先発品と後発品の同等性に関しては「ほとんど理解された」が3割を超えて36%、「ほとんど理解されなかった」が5%、「どちらともいえない」が58%であった。変更可等の処方せんを持参した患者が、後発品に変更した理由(複数回答)を聞いたところ、「一部負担金が軽減するから」が77%で最も多く、「テレビなどのCMを見て」が70%、「医師や薬剤師の勧め」は2割未満だった。
後発品に変更した場合、薬局は医療機関側へ情報提供する必要があるが、提供方法(複数回答)としては、ファクスが61%と最も多かった。そのほか薬剤情報提供文書やお薬手帳など、患者を介しての情報提供もそれぞれ20%程度あった。頻度は半数近くが「調剤ごと」としている。
さらに、処方せん様式変更前の3月と変更後の5月で医薬品の備蓄状況を聞いたところ、1施設当たり平均で3月は1085品目、うち後発品は9・8%の106品目だった。これが5月には備蓄薬全体で1124品目と38品目増加、後発品に限ってみると、129品目で23品目増加している。