第56回日本薬剤師会学術大会
座長
日本薬剤師会理事
小林百代
和歌山県薬剤師会副会長
鋤柄宣子
現在の日本では総人口の約51.4%を女性が占め、その数は6398万人である。生物学的に見た女性は、女性ホルモンの変動により体や心に影響を受けている。女性ホルモンの変動というのは、思春期・成熟期・更年期・老年期といったライフステージによって大きく変わるだけでなく、思春期から更年期には月経→排卵→月経と月内変動を繰り返す。
現代の日本女性は初経の低年齢化と出産回数の減少により、一生のうちに約400~500回の月経を繰り返す。戦前の日本女性の月経回数が約50回だったことと比較すると、たった80年の間に10倍近くに増えたことになる。この排卵や月経回数の多さは、月経前症候群(PMS)や月経困難症を引き起こす回数を増やすばかりか、子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣癌、乳癌など女性特有の病気の発症リスクになっているとも考えられている。一方で、PMSをはじめとする月経に関連した症状や更年期障害の当事者たちの多くは、「当たり前のことだ」「仕方がない」「病院へ行くほどではない」「我慢するしかない」などと思っており、症状があるにも関わらず医療機関を受診したことのある人の割合は全体の約3分の1しかなく、症状が重度であっても約半数は受診したことがないという現状にある。
この分科会は、毎月繰り返す症状に悩まされている女性や独りで抱えて相談できずにいる女性たちに寄り添い、薬剤師としてできることについて考えることを目的として、まずは女性のライフサイクルおよび女性特有の疾患について理解し、さらには乳癌の術後ケアについても知識を深める機会としたい。女性特有の疾患を持つ患者の大多数が、男性にももっと理解してほしい思っているとの調査データもある。
どう接したら良いのか分からない、もっと知りたいと思っている薬剤師なら男女を問わず大歓迎。この分科会をかかりつけ薬剤師機能を拡げる好機と捉え、オール薬剤師で共に学びたいと考えている。
(小林百代)