各種エンジンやAIと連携‐最高水準の高精度翻訳可能に
日本特許翻訳は、7月から「ProTranslator EXPRESS」をリリースした。「(翻訳支援ツールの)『memoQオンプレミス』をコアとし、各種MT(機械翻訳)エンジンと生成AIを連携した統合型翻訳支援ツール」を謳い、特許、医薬、サイエンス文献の業界トップレベルの高精度の翻訳が可能だとしている。医学文献データベース「PubMed」データを組み込んだNICTサイエンスエンジンもリリース。国際的な情報セキュリティ規格ISO27001/27017認証の国内の自社運用データセンターで、「memoQオンプレミス」と翻訳エンジンを運用しており、自社サーバーで全て処理可能なセキュリティの高さも同社の特徴だ。
同社の主力サービスは、民間企業の知財部、翻訳会社への「ProTranslator」の提供だ。成長は、高い秘匿性が求められる特許翻訳における、同社システムの信頼性の高さによるものと言える。
原文を翻訳しやすいよう独自の前処理を行い、翻訳後の後処理を行う。この前後の処理を行うエンジンも独自だが、一連の作業を自社ツール、自社データセンター、サーバーの自社運用と自社完結体制で運用する点が、同社への信頼、評価につながっている。
それをさらに進化させたのが「ProTranslator EXPRESS」だ。翻訳大手には既に導入が進んでいるという。
特徴として次のような機能を挙げる。
▽Phrase TMSとmemoQ双方の長所を取り入れており、「memoQ」や「Phrase TMS」のxliff・tmxファイルがそのままインポート可能。
▽タームベース機能を提供し、専門タームの管理と統一を容易にする。ここでも「memoQ」や「Phrase TMS」tbxがそのままインポート可能。
▽自動翻訳のNICTの各種エンジンやDeepL、さらにnpat II EXPRESSエンジンなどが組み込まれている。「Domain Adaptive MT」にも対応しているため、特許・医薬分野では業界最高レベルの自動翻訳の結果を参考にしながら、効率的に翻訳作業を行うことができる。
クラウドベースのサービスにより、インターネット環境があればどこからでもアクセスでき、翻訳者、レビュアー、プロジェクトマネージャーなど、プロジェクト関係者間の連携がよりスムーズにできるようにした。
ブラウザのインターフェースもこれまでの経験を生かして独自開発し、シンプルで直感的な操作ができるようになっているという。
今月には生成AIと連携した「smart Term Base」機能を追加する。冠詞の適切性、単数複数の適切さ、先頭の大文字・小文字を翻訳者がチェックしていたことを、それらを生成AIが判断、修正することにより、タームベースの用語を指定訳語で自動翻訳が可能となる。翻訳者のポストエディット作業の低減が期待できる。この新機能は現在、特許・商標出願中だ。
本間奨社長は、この1年について「翻訳大手からの新しい案件、そして民間大企業の引き合いがあった。民間大企業のお客様からは社内システムと連携、各社に運用環境に合わせたカスタマイズを1社1社お聞きしながら取り組んでいる」と振り返る。
製薬業界に対し「翻訳のシステム化は敷居が高いと思われているかもしれないが、私たちはエンジンも、CAT(Computer Assisted Translation)ツールも自前開発し自社サーバーで運用しており、セキュリティも高い。CATツール、エンジン、生成AIを使って、今後どう翻訳を行えば良いかお困りであれば、気軽にお声がけいただければ」とメッセージを送る。
日本特許翻訳
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