「memoQTMS」導入拡大図る‐年4回更新で処理速度向上

三浦氏
翻訳管理システム(TMS)を展開しているmemoQは、主に海外展開を進める国内の医薬品メーカー、医療機器メーカーを対象に、同社TMS「memoQTMS」の認知度向上と導入拡大に注力する。年4回の機能更新を図り、処理速度を高めたほか、春にリリースしたバージョン10.1では、翻訳が製品展開する海外現地での法規制などに合った内容かを現地担当者が「memoQTMS」上で確認できる「イン・カントリー・レビュー」を搭載し、翻訳の効率化と質向上を支援している。シニアセールスマネジャーの三浦陽氏は、迅速な海外展開を支えるツールとして「医薬品業界の皆様には導入を推奨したい」と呼びかけている。
「memoQTMS」は、グローバルではライフサイエンス分野で約100社が採用する有力TMS。ただ、日本では社内翻訳者、翻訳会社への依頼が多く、社内にTMSを導入するケースはまだ少ない。三浦氏は、日本では欧米トレンドの数年遅れで実装に入ることが多いとして、「近い将来、TMSの活用が一般的になると想定して『memoQTMS』を紹介している」と、期待を込めて話す。
TMSは、過去の翻訳履歴を含めその文書と用語を管理し、マネジャーと翻訳者などとのチームで情報共有しながら翻訳を行うことで効果を発揮する。保存された過去の訳語をデータベース化し、それを参照しながら翻訳するなど、作業効率化、品質向上に寄与する。

糸目氏
機械翻訳(MT)が多用されているとは言え、まずはMTで下訳を作成し、その後に内容を精査するポストエディットが翻訳品質の鍵。MTでは同じ言葉でも異なる訳語が出てくることは稀ではなく、過去の翻訳履歴、訳語を参照して訳出し、円滑なポストエディットを行う上でもTMSの活用は有用だと、同社は指摘する。
年々技術が進展し、顧客要望が出てくる中で、同社は年4回機能更新により顧客ニーズに応える努力を続けている。
「実際に現場で作業される翻訳者、プロジェクトマネージャーにとって、メリットのある新しい機能がたくさん追加されている」と、ソリューションエンジニアの糸目慈樹氏は強調する。
一つは、冒頭に紹介した「イン・カントリー・レビュー」。事後的に行っていた海外現地担当者による確認を「memoQTMS」上で情報共有しながら進めることで、修正箇所もシステム内に記録され、次回からの翻訳に応用できる。海外展開を図る企業には、翻訳作業の効率化を図れる。
それから「バックアップウィザード」。プロ翻訳者は年々、翻訳メモリーに翻訳情報を蓄積していく。その中で使用しているパソコンも新規のものに入れ替えることがあるが、その際のデータをスムーズに移行する実践的な機能だ。
「アクセシビリティモード」は、目の不自由な翻訳者を念頭に音声読み上げソフトとの相性、補完性を高める機能だ。
それから処理速度を高めた。翻訳メモリーが大きくなるにつれ低下する処理速度を高め、翻訳結果を素早く出すよう改善を図った。
糸目氏は、将来のユーザーに対し「翻訳に悩まれている方、興味がある方には30日間の無償トライアルもあるので感触を得ていただきたい」とメッセージを送る。
実際触れられる機会として「TCシンポジウム」(10月4~6日:京都)、「翻訳祭」(10月27日:東京、11月8~25日:オンライン)、「memoQDay」(9月28日:東京)を用意している。
memoQ
https://www.memoq.com/ja