生産性向上のパートナーに

木崎氏
シミック・イニジオが今月1日にスタートした。シミック・アッシュフィールドから社名変更したCSOで、国内リーディングカンパニーのシミックの実績とグローバルでのイニジオの豊富な経験を組み合わせ、事業課題に対する提案の幅を広げる。木崎弘社長は、人財ビジネスを軸としつつ、近未来に起こり得る課題にコンサルティングから解決支援に入るサービスに注力する方針だ。コンサルを通じ、営業・マーケティング・プロダクト戦略策定、事業体制の構築を支援し、自社の人財活用につなげたい考え。製薬企業が対応を迫られる生産性向上を実現するパートナーが目指す姿だ。
同社は2014年の合弁会社化から10年目を迎えた。この間、売上は倍増、営業利益も3~4倍に増え、シミックグループの事業の大きな柱の一つへと成長した。社名変更の背景にあるイニジオのブランド再編による機能拡張は、合弁会社としてのサービス領域のさらなる拡大につながると期待される。
新社名への変更と合わせ、社内カンパニー制を導入し、「CSOカンパニー」と「メディカルアフェアーズカンパニー」を新設した。各カンパニーがオーナーシップを持って意思決定の迅速化と事業展開を図ることに加え、コマーシャル領域とメディカルアフェアーズ(MA)領域それぞれの独立性を担保するのが狙いだ。それにより二桁成長を遂げてきたCSO事業に隠れがちなMA事業で、製薬企業のニーズに応える独自のサービス開発・提供、事業展開ができる体制にする。同社のサービスはコマーシャル領域、MA領域、ペイシェントソリューション領域に分けられる。
コマーシャル領域はMR派遣を主軸に、製品のスペシャリティ化が進む。その中で、MRの進化を図るため社員の育成強化と合わせ、木崎氏は「次のステップに踏み出すところに来ている」と指摘する。注目しているのは新興バイオ企業の日本参入だ。投入製品に合ったプロモーション体制、チャネルの組み合わせ、医療従事者への効果的アプローチと製品理解促進など、効率的な展開が必要になる。その支援を強く推進したい考え。木崎氏は「これまでも支援実績はある。各種戦略の効果測定をするノウハウをイニジオは持っており、コンサルをした上でKPIの設定、提案、組織体制の構築など、顧客に合った最適な提案をし、実際の営業活動まで支援していくのがわれわれの将来の姿」と説明する。
メディカル領域は専門性の高さが特徴だ。ほとんどの人材がPh.Dを保有し、メディカルドクターも在籍。コンサル機能を強化し、アンメットニーズの同定やエビデンスの創出による薬剤価値の至適化に向けたメディカル戦略の策定、そのための組織・人財支援などを行う。
MSLのケイパビリティを評価し、トレーニング内容の提案も行うほか、個人や法人向けのMA/MSL人財養成プログラム「MAアカデミー」を運営するなど育成支援にも取り組んでいる。
ペイシェントソリューション領域は、看護師が中心となり、治療満足度の向上やアドヒアランス向上を支援する。例えば、登録患者に対してコミュニケーションをとり適切な治療の継続を支援するサービスがある。木崎氏は「将来を見据え、より良い治療を実現する最適なコミュニケーションチャネルを開発していく」と話す。
同社の今後の事業展開について木崎氏は「製薬企業が直面する課題を一緒に考えて解決できる、かけがえのないパートナーとして認めていただくよう私たちは進化していきたい。目指す姿にいかに近づいていくのかが、この数年内のわれわれの使命である」と抱負を語る。
シミック・イニジオ
https://www.cmic-inizio.com/