厚生労働省医薬局長 城克文

医薬品の販売制度については、昨年2月から「医薬品の販売制度に関する検討会」を開催し、濫用等の恐れのある医薬品の適正な販売のための方策やデジタル技術を活用した医薬品販売業のあり方等について議論いただきました。これを踏まえ、医薬品の安全かつ適正な使用を確保しつつ、国民の皆様の医薬品へのアクセスが向上するよう必要な制度見直し等に向けて検討を進めていきます。
また、薬剤師の従事先に業態や地域偏在があることが指摘されており、これを解消することが喫緊の課題となっていることから、地域の実情に応じた薬剤師確保策の検討を行うと共に、都道府県での検討に活用いただくため、昨年6月に「薬剤師確保計画ガイドライン」を作成しました。今後も薬局・薬剤師を取り巻く環境や患者から求められる役割の変化を踏まえ、将来を見据えた検討を進めていきます。
近年、海外で承認されている医薬品が日本では開発に着手すらされない“ドラッグ・ロス”が拡大していると指摘されています。昨年7月からは「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」を開催し、薬事制度上の課題について議論を進めてきました。引き続き、年度末の取りまとめに向けて検討を進めていきます。
昨年は、危険ドラッグの再燃の兆しが見え、いわゆる大麻グミと称した製品による健康被害が発生しました。これまでも検査命令や販売等停止命令等を行い、こうした製品の流通を抑制してきたところですが、今後、類似化合物の出現傾向を踏まえて包括指定等の対応を行う共に、引き続き広報活動等による注意喚起を行っていきます。
加えて、近年、医薬品の製造過程における品質問題に端を発した医薬品の安定供給確保が問題となっています。製造販売業者等に法令遵守体制の整備を義務づけ、無通告立入検査の実施を強化するなどの取り組みを進めてきましたが、国民や医療現場に対する信頼確保に一層努めるため、都道府県の薬事監視の質的な向上を図ると共に、国と都道府県の連携体制強化等を推進していきます。
本年は、2019年改正薬機法の検討規定も踏まえ次期薬事制度改正に向けた議論を本格化していく予定です。関係者の皆様と率直な意見交換等を行いながら、より良い医療の実現に向け取り組んでいきます。