世界各地のPV監査に対応‐欧米の規制熟知した人材配置
イタリアを起源に世界各地でコンサルティング業務を展開するPQEグループ。2017年から日本にもPQE Japanを設置し、製薬企業や医療機器製造企業等のコンプライアンス対応を支援している。ファーマコビジランス(PV)業務支援の一環として、製薬企業の依頼を受けて第三者の立場から各社のPV監査を実施する体制を構築。欧州の厳しい規制に通じた専門的な人材を世界各地に抱え、各地のPV監査に柔軟に対応できることが強みだ。ほかにも、世界で通用するPV業務の標準作業手順書(SOP)作成など、幅広い支援を行っている。
製薬企業のPV業務が適正かどうかを、組織体制やSOP、マニュアル等の観点から第三者が評価するPV監査は、欧米の規制で実施が求められている。一方、日本の規制では製薬企業の自主点検で良いとされ、PV監査は必須になっていない。海外ではPV監査を外部機関が担う事例が多く、PQEグループはその受け皿となってきた。
日本と欧米のPV規制には違いがあり、特に欧州の規制は先進的でレベルが高いとされる。安全性情報収集の完全性や透明性、収集システムの機能について高いレベルでの実践が必要になる。
日本の製薬企業が海外で自社販売する場合だけでなく、提携先の企業に販売を委託する場合でも、進出地域の規制に準じたPV業務を求められる。欧米等では、輸出先の提携会社が適切かつ有効に安全性情報を収集しているかを確認するPV監査の実施が必要だ。
PQE Japanファーマコビジランス・CSV・データインテグリティアドバイザーの神社利恵氏は「海外に進出したいが、海外の規制要件に合うPV体制をどう組んだらいいのか分からないといった国内の製薬企業の体制作りを支援するほか、既に海外に進出している国内企業からも相談を受けて対応している」と語る。
PQEグループは欧米のPV規制を熟知しており、様々な観点での支援が可能だ。中でも、PV監査の強みについて神社氏は「PQEグループには、厳しい欧州の規制を理解してPV監査を行える人材がグローバルに配備され、欧米やアジア、南米、オーストラリアなど世界各地での監査が可能」と話す。
日本の製薬企業から依頼を受けて欧米やアジアでのPV監査を実施する機会は多い。その場合、各地の専門的な監査員が現地の製薬企業に出向いて監査を行う。各地域の言語で対応できるほか、コストや時間短縮の面でも利点がある。
同社CSV/CSA&データインテグリティマネジャーの峠茂樹氏は、「例えば日本から欧州に出向くと渡航費が必要になる。時間がかかるため人件費も大きくなる。現地の監査員が出向いて調べることで時間も費用も安くできる」と強調する。
日本の製薬企業が、提携先の欧米の製薬企業からPV監査を受けたり、欧米の規制当局から査察を受けたりする場合もある。PQE JapanはこうしたPV監査や査察への対応の支援も手がける。
ほかにも同社のスタッフは、様々な切り口でPV業務を幅広く支援している。製薬企業から依頼を受けて、SOPや安全性手順書の作成を支援し、PV業務の社員教育やKPIモニタリングも実施する。安全性システムのコンピュータ化システムバリデーションとしてユーザ要件分析に始まり、バリデーション計画書、テスト、バリデーション報告までの支援も行える。
7年前の日本拠点設立後、これまで約100社から依頼を受けて600プロジェクトに関わった。神社氏は、「日本でPQEグループがこうした業務を行っていることを認識している製薬企業はまだ少ない。知ってもらえればニーズはある。今後、認知拡大と深掘りを進めたい」と話している。
PQE Japan
https://www2.pqegroup.com/jp/