日本品質でグローバル展開‐EMA対応は10月リリース

左から平氏と松本氏
DXCテクノロジー・ジャパンは、日本発の医薬品安全性管理業務支援システム「ClinicalWorks/ADR」のグローバル対応を本格化する。製薬産業のグローバル化、電子的対応の浸透から、海外当局とスムーズに連携できるソリューションを求める声に応えるもので、10月にはリリースする方針だ。並行して「ClinicalWorks/ADR」や他のシステムで社内に蓄積された安全性データを機械学習し、AIを活用することで安全性管理業務の効率化を図るソリューションも開発中で、来年4月以降の実用化を目指す。
同社の安全性管理業務のソリューションの歴史は30年以上前に遡る。35社以上の製薬企業で使用され、これまでグローバルに同社が管理をサポートした医薬品は約1万5000種に上るという。
「ClinicalWorks/ADR」は医薬品の安全性情報や症例情報管理業務を支援するパッケージウェア。クラウド環境で利用できるサービスも提供している。臨床での医薬品・医療機器の使用に伴う副作用・不具合、有害事象などの安全性情報の入手、評価、報告、当局への伝達、その進捗管理など業務支援が主な機能だ。
同社は、顧客企業のプロセスに合わせて柔軟かつ迅速に対応し、業務が滞ることなく安心して遂行できる環境を提供してきたことが評価されてきたと説明する。
その中で顧客から声が寄せられていたのが「グローバルシステムとの連携」。そう話すライフサイエンス&ヘルステックデリバリー部担当マネジャーの平清氏は、「これまでの運用だけでは、電子的対応、業務のスピードで十分対応ができなくなってきた。また、既に海外展開を行う企業は他のシステムに乗り換えるところも出てきた。しかし、われわれにはサービスの高い品質、使いやすさ、柔軟性がある。それを生かして昨年夏から本格的に対応を検討してきた」と話す。
既存顧客のほか、グローバル展開を強化する企業・ベンチャー、国内参入ベンチャーも対象に訴求していく考え。大規模パッケージが導入しづらい中小規模にも対応し、リーズナブルに提供してきた実績がある。
同社はまず、顧客の声を受けて欧州医薬品庁(EMA)対応から開発に着手した。現在、テスト中で、10月にはリリースする方針だ。米国食品医薬品庁(FDA)、アジア当局の対応も視野に入れる。
並行して進めているのがAIを応用したシステム開発だ。同社は既に、構造化されたデータから必要な情報を抽出して症例入力の省力化を支援するシステムを開発しているが、現在開発を進めているのは、入力情報から、評価に必要な情報を自動で判断するシステムだ。
MRを介して医療機関から入手した安全性情報の第1報では評価に必要な情報はそろっていない。それに対し現在は、専門担当者が必要な情報を判断して、対応を指示する。
開発中の新システムは、一定の労力と経験をもとにしていた担当者の判断を、AIが即座に行い、担当者の業務を支援するというもの。元になるデータは「ClinicalWorks/ADR」や他のシステムで社内に蓄積された安全性情報を機械学習させて活用する。2025年4月以降の実用化を目指す。
ライフサイエンス&ヘルステック事業部の松本彰久事業部長は、「『ClinicalWorks/ADR』は長い歴史のある日本発のオリジナルソリューションとして、お客様の要望に丁寧に応えた仕様、高い品質を実現してきた。その日本発クオリティでグローバルにも提供していきたい。AI活用もさらなるチャレンジを進めたい」と抱負を語る。
DXCテクノロジー・ジャパン(ClinicalWorks/ADR)
https://dxc.com/jp/ja/cp/industries/life-sciences/clinicalworks-adr