第一三共の庄田隆社長は13日、都内で開いた決算説明会で、印ランバクシーの申請データ改ざん問題について、「これまでインドの上場企業として、ランバクシーの独立性を重視してきたが、FDA問題の解決に向け、さらに第一三共が経営への関与を強めていく」との方針を明らかにした。現在、第一三共は、ランバクシーに2人の取締役を派遣している。
FDAは2月、ランバクシー製品の申請データの信頼性に疑義を示すAIP(アプリケーション・インテグリティー・ポリシー)を発動。これを受け、第一三共はFDAの疑念を払拭するため、FDAとの直接協議に指導力を発揮する考えを示していた。
庄田氏は、「医薬品の製造、品質保証の概念には、新薬とジェネリック医薬品に差はなく、ランバクシーはそれに関する感度が明らかに弱かった」と強調。「ランバクシーの品質保証制度を確立し、問題を解決するためには、第一三共が大きな関与をしなければ解決できない」との考えを示した。
既に第一三共は、米国の専門家を含めた拡大対策チームを立ち上げ、FDAとの直接協議に参画しており、問題解決を急いでいる。その対応の中で、5月にランバクシーは、ニトロフラントインカプセルの全ロットを自主回収すると発表している。
庄田氏は、2009年度の主要経営課題にFDA問題の早期解決を挙げ、「これまでインドの上場企業として、ランバクシーの独立性を重視してきたが、FDA問題は、第一三共が経営への関与を強めなければ解決できない」との考えを強調した。派遣する取締役の増員など、具体的な方針は明らかにしていないが、これまでランバクシーの独立性を重視してきた方針を転換し、第一三共が経営の主導権を取っていく姿勢を鮮明にした格好だ。