
野木森社長
アステラス製薬の野木森雅郁社長は14日、都内で開いた決算説明会で、「今後の成長を牽引するのは、過活動膀胱治療薬のベシケア」と述べ、第III相試験中のβ3受容体作動薬「YM178」(一般名:ミラベロン)と合わせ2製品で市場を拡大し、グローバル過活動膀胱(OAB)市場でトップ企業を目指す考えを示した。
ベシケアの2008年度売上高は、全世界で好調に推移し、18・8%増の714億円と大幅に伸長。日本と欧州でシェア1位を達成し、米国でもシェア2位と拡大基調にある。09年度も日米欧で二桁成長を見込み、売上高842億円を予想。主力製品として成長を支えてきた免疫抑制剤「プログラフ」、排尿障害治療薬「ハルナール」の特許が相次いで満了する中、次期グローバル主力製品に成長しつつある。
一方、重点疾患領域と位置づける泌尿器領域では、ベシケアの後続品として、β3受容体作動薬「YM178」が欧米で第III相試験を実施中で、国内でも今夏に第III相試験をスタートさせ、2010年度の申請を目指している。OABの潜在患者数は、16年には5000万人以上に上るとされているが、野木森氏は、「診断率が低く、薬物治療率も低い」と指摘。「YM178は、市場の掘り起こし次第で十分に成長できる」と自信を示した。
「YM178」は、既存の抗コリン薬の副作用、効果不十分なOAB患者に効果が期待されており、今後アステラスは、「ベシケア」と共に新たな治療オプションの提供によって市場拡大を図り、グローバルOAB市場でトップ企業を目指していく方針だ。
その上で、「OABの診断率は、世界各国によって異なるため、医師や患者さんへの疾患啓発活動はかなり長期戦になる」との認識を示しながらも、「トップ企業を目指すからこそできる」と意気込みを強調した。