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【2025年年頭所感】制度との乖離解消へ取り組み‐全薬協会長

2025年01月10日 (金)

全日本医薬品登録販売者協会会長 杉本雄一

杉本雄一氏

 登録販売者制度は、一般用医薬品販売制度改正により創設され、今年施行後16年目を迎える。既に膨大な数の登録販売者試験合格者が誕生したことから、この機会に制度創設の目的の確認、現状分析を示し、今後どうあるべきか当職としての所感を示したい。

 登録販売者制度創設の目的は、「医薬品のリスク分類に応じて、専門家として医薬品について適正な情報提供や相談対応を行い、使用者等にあった医薬品の選択等に関わり、医薬品が適正に使用されるよう支援する」ことであった。人の命と健康を損なうことがないよう適正使用推進に重要な役割を果たすべき専門家の創設である。

 登録販売者の業務を紹介するネット上の記事には、「登録販売者の仕事は一般用医薬品販売がメインというイメージがあるが、実際の現場では、医薬品に関わる機会は少なめ」との記載を見受ける。これは、前記制度創設の目的と現実との乖離状況の進展を正直に表したものである。

 こうした乖離状況の進展は、全国の登録販売者から全薬協に届く、次のような「悩み事相談」事項にも表れている。

 「医薬品販売の専門家となる夢を持ち登録販売者になった。担当させられる仕事は想像と大きく異なった。食品・日用雑貨を含む様々な商品管理や当該商品の販売、レジ打ちが中心。医薬品にかかる公益性を伴う対人業務への従事割合は少なく、従事時間も短い。こんなはずではなかった」

 そもそも、登録販売者業務の内容として想定されている事項とは何かを明らかにする。これを示す文書が厚生労働省通知「登録販売者制度の取り扱い等について」である。同通知別紙様式2には、登録販売者としての業務内容証明事項6項目が列記されている。

 すなわち、期間内に薬剤師または登録販売者の管理・指導の下で、主に一般用医薬品の販売等の直接の業務に従事すること、医薬品の情報提供・相談対応業務、医薬品販売制度内容の説明業務等である。

 これらの要件は、登録販売者が従事すべき業務全般を示すもので、管理者要件の充足後も適用対象となる。このような目的と現実との乖離は困難でも正されなくてはならない。乖離の一要因が人手不足にあるなら、その解消を図ること、医薬品使用者等に登録販売者の業務内容の周知・徹底を図ること、制度の運営を管理する行政の監視が届きやすい制度環境を構築することが不可欠で、全薬協はこの乖離解消に向け取り組む所存である。



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